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『イーストエンドは西の果て』

12 カシオペイヤの友人

 僕は、ミツバチ・ハイミーの道案内で、ねむりあの国を探検することになった。


 ハイミーは、僕がココまで登ってきたことを、やたらと喜んでいるようだった。

 …何でも、ハイミー自身も、褒めてもらえるんだとか何とか…

 ハイミーよりも更に上の親分みたいのが、まだ控えてるって言ってたもんなぁ。


 それにしても、このねむりあって国は、なんでこんなに、ピンク色なんだろうなぁ。

 眠くなってくるし、顔がゆるんできちゃうんだよ。「怒る」とか「緊張」とか、そういうキブンにはなりにくいんだ。

 ハイミーは、「ピンクってそういう色なんだよぉ♪」って言ってたけどさ。たかだか色ごときで、そんなに違うモンかなぁ?


 ブツブツしゃべりながら歩いていると、またヘンな生き物に出くわしたよ!!

 亀!?…だとは思うんだけど、ヘンな色・カタチなんだよなぁ。甲羅はキレイな六角形で、薄いサンゴ色なんだ。…ペールコーラル色と呼ぶらしいよ。

 そんで、手足は、薄いターコイズ色なんだ。…ペールターコイズって言えばイイんだろうなぁ。

 …つまり、「ペール」っていうのは「薄い」って意味さ。

 その亀もやっぱり、人間の言葉を器用に操りやがるんだ!!

「やぁ!ハイミー♪

 …おや?人間が登ってくるなんて、何年ぶりだろうなぁ。」

「やぁ、たると♪

 彼は、僕の『ソウル・エクステンション』なんだよぉ!

 ついに僕も、自分のソウル・エクステンションを、ココに導くことが出来たのさぁ!!きっと、『かっしー』に褒めてもらえるよ♪」

「そうか!

 ずいぶんと、満身創痍なカンジだけれど…

 …さては、カナリ強引な手法を取ったな!?」

「そ、それはまぁ…そうなんだけど…

 成り行きってヤツさぁ!

 彼のパパとも、約束したことだったしさ…!!」

「まぁまぁ、ハイミーを責めたりはしないさ。

 おめでとう♪心から祝福するよ。ハイミーも、そしてモチロン、ソコの人間クンもさ♪

 …それより、そのかっしーが、ハイミーのこと探していたぞ?駆けつけたほうが、イイんじゃないかい?」

「ほんとー!?

 『導き』成功のゴホウビを、授けてくれるつもりだよ!きっとさ!!

 …おっとっと!

 どうしよう!?僕は今、親愛なるぱるこに、この国の観光案内をするトコだったんだけど…」

「そうかぁ!

 じゃぁ、そのぱるこ君とやらのガイド役は、僕・たるとが引き受けようじゃないか♪

 たるとからハイミーへの、せんべつだと思っておくれ♪」

「そりゃぁありがたい!

 用事が済んだらすぐに戻ってくるからさ、それまでの間、僕のぱるこをヨロシク頼むよぉ♪」

「ヨシキタ!

 じゃぁ、まずは1枚、記念撮影をしていきなよ♪」

「記念撮影??」

 僕は、説明を求めるように、ハイミーを見上げた。

「たるとの背中に、レンズが見えるでしょう?彼の身体は、カメラになっているのさぁ♪

 カメラに限らず、メカのことなら、何でも詳しいんだよぉ♪」

「カメの背中に、カメラ??」

 何のジョーダンかと思ったけれど、たしかに、たるとの背中には、性能の良さそうな大きなレンズが光っていた。

 …サスガに僕だって、ココの連中に常識が通じないことくらいは、解ってきたさ(笑)


 たるとは、僕とハイミーの仲むつまじい姿を、アートな写真に収めてくれた。

 …「とてもアートな写真だ」とたるとは言っていたけれど、現像までに1日掛かるらしいから、コトの真相は、解らなかった…


 ハイミーは、僕のほっぺにキスをすると、一目散に、かっしーとやらのトコロへ飛んでいってしまった。



「…さてと、

 ぱるこ君だったかな?

 よそよそしいのは好きじゃないから、ぱるこって呼ぶよ♪僕のことも、たるとって呼び捨てで、イイからさ!

 キミの世界の常識から言えば、『さん付け』どころか『様付け』するくらい、年上なんだけどねぇ(笑)」

「えー!?

 甲羅も手足もツヤツヤしているし、まだ若い亀さんのように見えるけど…たるとは、幾つなの?」

「僕は、えーっと…

 正確な数字は忘れてしまったけれど、1万歳とちょっとだったと思うよ。

 こないだみんながパーティしてくれたから、1万歳を超えたのは、たしかだなぁ。」

「い、い、1万歳!!??そんなに長生き出来るモンなの!?」

「わははは!

 キミらの世界でも、『亀は万年』って言うだろう?1万年くらい、どーってことナイさ♪

 まだまだ、寿命の半分にも至らないよ(笑)

 ココねむりあの国じゃぁ、亀に限らず、たいていみんな、1万年くらいは生きてるなぁ。飽きたら、ポックリ死んじゃうけどさ(笑)

 爺さん婆さんの姿になりたければ、なれないこともナイけれど、誰も、好き好んでシワシワ・ヨボヨボには、ならんさ(笑)

 僕らやキミたち人間は、『自分の信念』次第で、いくらでも寿命を延ばせるし、若返ったり年老いたり、出来るモンだよ♪

 キミたち人間は、そういうことが出来るってことすら、忘れちゃってるようだけども…。

 まったく、不便な文明に暮らしてて、ご苦労さんだよ(笑)」

「そうなの!?

 信念だけで、自分の外見を操作できるの!?」

「信念だけとも言えないが、思いのほか、難しくはないよ。

 まずは、アレだな。

 若さを保ちたいなら、のんびり暮らすことだよ♪」

「のんびり暮らすと、若いままで居られるの?

 そんなの、聞いたことナイよ!?」

「おやおや!

 僕ら亀たちは、なぜ、他より長生きすると思う?みんなよりも更に、のんびり暮らすからさ♪

 おかしいなぁ…。

 何十年か昔に、僕の友人のカシオペイアって亀が、キミたちの世界に下りていって、『ゆっくり歩くことの大切さ』を説いていたハズなんだが…

 たしかヤツ、本にも載っていたぞ?世界的に有名な本だ!子ども向けの、オレンジ色の本だったなぁ。りんごとかモモとか、そんな名前だったような…


 おまえさんたち人間の悪いクセは、芸術作品を読んだり聴いたりして感銘を受けても、その作品に込められていた教訓を、『自分の生活には、さっぱり活かさない』ってことさな!

 だから、自分のカラダで痛い思いをしてばっかりなんだよ。

 …つまり、『知性』が、チョっと弱いんだろうなぁ…

 それとも、『芸術的な感性』が弱いのか…

 …うん。その両方かもしれないな(笑)

 とにかく、

 思いの他、不可能なんてモンは、ナイんだよ♪

 要は、『強い信念が保てるかどうか』それが重要さね。そうすれば、次にどうすればいいかは、おのずとわかってくるよ。」

「うん!

 ココに登ってきた今の僕なら、たるとの言ってる『信念論』がデタラメじゃナイって、思える気がする…!!」

「そうそう、その調子だよ♪

 いきなり、『オレはなんでも出来る!』と思い込むのは難しいが、『不可能じゃナイかもしれない』と抜け道を作ってやるだけで、人生は、大きく大きく、変わっていくさ♪


 ぱるこだって、『空飛ぶ貝に出会うなんて、おとぎ話の中だけの話だ』と、思っていたろう?

 物語の主人公になる輩は、みーんな、最初はそう思ってるよね(笑)

 誰かにせっつかれて、『フシギな世界が、ホントにあるかもしれない!』って思い始めた輩だけが、ワンダーランドに迷い込む。

 …その物語を読む輩は、『ワタシもワンダーランドに迷い込めたらイイなぁ』とは思っているが、『ワタシにだって、ワンダーランドの扉が開くハズ!』という信念は、持とうとしない…そういう信念を持とうとしないから、扉は、開かない…

 全て、『思った通りになっている』んだよ(笑)」

「うん。

 『何でも出来る!』って思い通すのは、難しいんだよ。

 けどさ、『何でも挑戦してやろう!』って思い通すのは、僕みたいな『へっぽこ勇者』でも不可能じゃナイんだなぁって、解ってきた!!」

「そうそう♪

 何でも、とりあえず、やってみたらイイんだ♪

 やってみさえすれば、次に何をすればイイか、見えてくる。

 …こういう話を他人に諭している人間も、たまに見かけるなぁ。

 けれども、諭してる自分が、理解していないし、実践できていないな(笑)

 ヤツらは、ただ単に、カネや注目を集めたいから、そういう話をするだけなんだよ(笑)

 『信念論』を本当に理解した輩は、自ら金持ちになろうとは、しないさ。

 なにしろ、大金など生み出さずとも、『求める物質や経験』のほうを、その信念で生み出せばイイのだからさ(笑)

 人間たちが、この『信念論』を心底理解したなら、資本主義なんていうメンドクサイ仕組みは終わるんだがなぁ。オマエさんたち下の人間は、『資本主義が最善だ!』と思って疑わないから、いつまでもいつまでも、『奪い合い』の世の中が、終わらないのさ(笑)」

「ふーん。資本主義とかそういうのは、僕はよくわからないけどさ。

 たしかに、お金で何でも交換しようとするのはメンドクサイ仕組みだなぁって、時々思うよ。」


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