舞いくるう粉ボコリがおさまって、声の主が見えてきたわ。
なんと、ヨボヨボのお婆さん!
「ごめんなさい!
粉袋、おばあ様の頭の上に落ちてしまったのね!?」私は謝った。
「ほっほっほ!髪はもとから真っ白じゃわ。もう80じゃからの。」
粉で真っ白だけど、よくよく見れば、修道服を着ているわ。
こんなお年寄りの修道女が、いたなんて!
「よく来たな。手伝ってくれるのか?倉庫の掃除を。」
「はぁあ。やるって言っちゃったから、やるわ。」
エルサはなぜか、ネコをかぶらないでぶっきらぼうに答えた。
「ほっほっほ。そうとんがりなさんな。
誰もやりたがらない仕事をやるのは、悪いことじゃない。
イエス様の器に、一歩近づくぞえ。」
「じゃぁおばあさまは、12使徒のリーダーってとこ?」言い争いじゃ負けないのよ、エルサは。
「ワシか?ワシは12使徒どころか、平民の大貧民じゃよ。
ワシがここにいるのは、人と群れるのがキライじゃからよ。ほっほっほ。」
「ふうん。変わり者なのね?」私が言ったわ。
「そのとおり。ワシは変わりもんじゃ。」
どうやら、本当に変わりもののお婆さんみたいよ。
おばあ様、ヘンなことを言ったわ。
「ところで、
そろそろ戸を閉めてくれんかの?まぶしくてかなわん。」
「え?もう閉まってるわよ?
さっきのバタンっていう音、木戸が閉まった音よ。」エルサが答える。
「ふむ?そうか。
…ふむ。まぶしさの原因はおぬしか!」おばあ様は、エルサを指差して言ったの。
「え?アタシ!?」
「おぬし、すごいな。
金色のオーラがそそり立っとる。まぶしくてかなわん。」
「は?オーラって?」
「おぬし、やがてリーダーになるのう。国を背負うか、会社を背負うか。」
「あっははは!ありえないわ!」
「おっほほ。今はそれでええ。
はねっかえりながら遊んでおれば良いじゃろ。
じゃがな、
ときどきは、やっておけ?誰もやりたがらない仕事を、な。」
ヘンなお婆さん。でも私、お友達が増えたわ♪
『イエスの子らよ』