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『エピソード12 イエスの子らよ』

舞いくるう粉ボコリがおさまって、声の主が見えてきたわ。

なんと、ヨボヨボのお婆さん!

「ごめんなさい!

 粉袋、おばあ様の頭の上に落ちてしまったのね!?」私は謝った。

「ほっほっほ!髪はもとから真っ白じゃわ。もう80じゃからの。」

粉で真っ白だけど、よくよく見れば、修道服を着ているわ。

こんなお年寄りの修道女が、いたなんて!


「よく来たな。手伝ってくれるのか?倉庫の掃除を。」

「はぁあ。やるって言っちゃったから、やるわ。」

エルサはなぜか、ネコをかぶらないでぶっきらぼうに答えた。

「ほっほっほ。そうとんがりなさんな。

 誰もやりたがらない仕事をやるのは、悪いことじゃない。

 イエス様の器に、一歩近づくぞえ。」

「じゃぁおばあさまは、12使徒のリーダーってとこ?」言い争いじゃ負けないのよ、エルサは。

「ワシか?ワシは12使徒どころか、平民の大貧民じゃよ。

 ワシがここにいるのは、人と群れるのがキライじゃからよ。ほっほっほ。」

「ふうん。変わり者なのね?」私が言ったわ。

「そのとおり。ワシは変わりもんじゃ。」

どうやら、本当に変わりもののお婆さんみたいよ。


おばあ様、ヘンなことを言ったわ。

「ところで、

 そろそろ戸を閉めてくれんかの?まぶしくてかなわん。」

「え?もう閉まってるわよ?

 さっきのバタンっていう音、木戸が閉まった音よ。」エルサが答える。

「ふむ?そうか。

 …ふむ。まぶしさの原因はおぬしか!」おばあ様は、エルサを指差して言ったの。

「え?アタシ!?」

「おぬし、すごいな。

 金色のオーラがそそり立っとる。まぶしくてかなわん。」

「は?オーラって?」

「おぬし、やがてリーダーになるのう。国を背負うか、会社を背負うか。」

「あっははは!ありえないわ!」

「おっほほ。今はそれでええ。

 はねっかえりながら遊んでおれば良いじゃろ。

 じゃがな、

 ときどきは、やっておけ?誰もやりたがらない仕事を、な。」

ヘンなお婆さん。でも私、お友達が増えたわ♪



『イエスの子らよ』

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