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エピソード10 『お遍路さんの集まる喫茶店』

エピソード10


私たち家族に関する話を、続けましょう。


実は、

息子とこの店は、同い年なのです。

1980年に、産声を上げました。



私たちの店は、

最初から、割と安定した集客を残せました。


というのも、

実のところ、

私たちもまた、お遍路さんに助けられた側面が、強いのです。


とは言え、

私たちは、貧しい歩きお遍路さん方から、

お金をむしり取るような経営とは、違いました。


「車で」お遍路巡りをしてしまう人たちが、

店の売り上げを支えていたのです。



再び、

お遍路さんの話をしましょう。


「お遍路さん」と言うと、

白装束を着て、杖を突き、笠(三角帽子)をかぶって歩いて巡る姿を、

想像される方が、多いことでしょう。


しかし、

現代日本の実態はと言うと、

そのような地道なお遍路さんは、

全体の1割にも、満たないことでしょう(笑)


8割ほどのお遍路さんは、

旅行会社のツアーバスに乗り込んで、

「歩く」という作業はほとんど行わずに、

1,600キロのお遍路コースを、終えてしまうのです(笑)



…これは正直、

はたから見ておりますと、

失笑せずには居られないものがあります(笑)


なにしろ、

お遍路歩きの発端は、

空海大使が、死装束をまとって、

死を覚悟の上で、歩き始めことなのです。

つまり、あの白装束は、死装束です。


ですから、

本来、お遍路さんという方々は、

死を覚悟の上で旅立つか、

そうでなくても、

自分を限界に追い込むストイックさを、根底に持っていました。



他人の運転するふかふか座席のバスで、寺社を巡ることに、

一体、どのような意義があるものなのか、

私には、見当も付きません(笑)

「ご利益がある」ということで、参加されているらしいのですが…


仮に、お遍路修行に「ご利益」なるものがあるとしたら、

それは、歩きお遍路さんたちが独占出来そうな気配がします(笑)

…しかし、

世の中とは面白いもので、

その、歩きお遍路さんたちはと言えば、

「ご利益のために!」といった動機の方は、

一人も、お目に掛かったことが、ありません(笑)


歩きお遍路さん方が、

「僕は、ご利益なんて受け取らなくてもいいよ」

と言って受け流した分が、

ツアーバスお遍路さんに、巡ってくる仕組みなのでしょうか(笑)

それにしては、人数に差があり過ぎる気がしますが…



歩きお遍路さんたちが仰る、

「ご利益など期待していない」

は、真実であると断言出来ます。


なにしろ、

歩いて1,600キロを制覇するほどの、覚悟と根性と体力があるなら、

神様や仏様に「ご利益」などといったものを授からなくとも、

どんな道であろうと、人生を切り拓いて行けることでしょうから(笑)



「ツアーバスお遍路」なる風習を生み出したのは、

どうやら、旅行会社なのです。

彼らは、

新しい観光資源を模索する中で、

信心深く、お金をたくさん持った高齢者たちに、

「ご利益のある観光ですよ」

と謳って、集客に勤しんだのです。


…「ツアーバスお遍路」で、「ご利益」があったのは、

お遍路さんではなく、旅行会社の方々であったようです(笑)

ただし、

「ご利益」の文字は、

「ごりやく」と読むのではなく、

「ごりえき」と読む必要が、ありそうですが(笑)



そうして、

ツアーバスでお遍路を行うシニアが増えてくると、

マイカーで周る人々も、増えてきたのです。

…彼らはきっと、

「他人の運転する車じゃご利益などあるはずがない!

 自分で運転しなければ!」

と、考えたのでしょう(笑)

こういうときに、「どんぐりの背比べ」と言わず、いつ言うのでしょうか(笑)


私たちの店は、

そうした、「マイカーお遍路さん」の方々を中心に、

発展して行ったのです。



ちなみに、

大金をつぎ込んだ、車関連でのお遍路さんの増加と比例して、

お遍路さんをカモにするような商売が、増えていったのです。

お遍路衣装も、

ずいぶんと安っぽく、派手になり、でも、値段ははね上がりました(笑)


すると、

お遍路道沿いの「お遍路さん歓迎します!」の店の数々は、

主に、それらの「金持ちお遍路さん」をカモにしているのだと、言えます。

であるとすれば、

努力もせず、神頼みで「ご利益」なるものを得ようとする不純な人々が、

同じく不純な商売人に搾取されていく構図は、

ものの道理に、適っているのかもしれません(笑)

「鏡の法則」と、言うのですのよね?



また、私たちの店は、

海水浴場の向かい辺りに、位置しています。

ですから、

海水浴客の来店も、ずいぶんとありました。

今では、

この辺りにも飲食店が増えたため、

海水浴客は、あまり寄り付かなくなりましたが。


更に、

老舗ということもあってか、

地域の住民の方々に、とても愛されています。

PTAの会合であるとか、会社の接待・会議などでも、

利用してくださる方々が、多いです。



すると、

私たちの店は、「ひこうき」という店名を体現したいのか、

売り上げ的には、低空飛行をずーっと続けています。

これは、「低迷」という意味では、ありません。

「衣食住に困らない程度に、安定している」という意味です♪


『お遍路さんの集まる喫茶店』

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