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エピソード10 『大家族』

エピソード10

ミユが交流館に転校・移住したことは、

ミユだけでなく、マユの人生をも大きく変えた。


「真の自由」

マユは、もっと自由に生きたくなった。


マユもまた、東京の家から離れることにした。

マユは、ミユがたくさんの友人たちと賑やかに暮らす様子を見て、

幼い日々を思い出した。白川郷の民宿で、大勢の人々に囲まれていた日々を。

家族であろうがなかろうが、誰とでも抱擁を交わし、抱っこしてもらった。

自分とか家族とか他人とか、そうした境界線は存在していなかった。

動物園のウサギのように、誰とでも仲良くしていられた。オスもメスも関係ない。

そうだ!

複数の異性を愛するだけでは、まだ物足りない。自然じゃない。

同性だって、抱きしめたい。愛したい。尽くしたい。


マユはずっと、

高級品で満ちあふれたあの家の中に、得体の知れない虚無感を感じ続けていたが、

欠けていたものが何だったのか、ようやく気づいた。

「温もり」だ。



マユは、四国の片田舎に、

同じような価値観の人々が暮らす古民家を見つけた。

同居人たちはマユよりも一回りほど若い者たちだったが、

マユも彼らもそんなことは気にしなかった。

そこでの暮らしは、

思ったとおり、素晴らしく心豊かなものだった。

「真の自由」

娘の「美しい結」から3ヶ月遅れて、

マユもようやく、自分の天命を生きはじめることができた。



その古民家のことは、もっと早くから知っていた。

それなのに、なぜ移住に3ヶ月も掛かったか?

マユの足を引っ張ったのは、宗教だった。


創価学会の仲間たちは、マユの引越しをとても寂しがり、

また、四国での未知なる暮らしを食い止めたがった。

これまでのマユの暮らしは、ある意味では、宗教に支えられていた。

マユを育てたのは創価信者の母とその仲間たちだし、

元旦那も創価学会の信者だったのだ。

しかしその宗教が、マユの「真の自由」を阻害した。天命を阻害した。

仲間たちの食い止めは、なぜかとても執拗だった。

するとマユは、東京から離れてくるためには、

創価の仲間たちとの絶縁をも、覚悟しなければならなかった。

そして散々迷った挙句、マユはそれを決断したのだ。

携帯電話は解約し、行き先も誰にも告げなかった。

それを決断したとき、


マユは、奇妙な体験をした。

体がすっと軽くなり、そして一瞬、体が半透明になったような気がした。

それからというものの、マユの手のひらは妙にポカポカと温かい。

マユは、自己的な秘儀参入的決意により、自分ひとりでレイキを体得したのだ。

本人はあまり理解していなかったが。

レイキとは、気功のような霊的な力だ。



ある折、

マユは、東京脱出の経緯を、古民家の仲間たちに話してみた。

マリという若い女性が、こんな返答をした。

「そういえば…

 私、前に沖縄の『結び宿』ってところに泊まったことあるんです。

 女将さん、スピリチュアルな人だったんですけどね、

 『宗教というのは、卒業すべきものだ』って。

 『否定する必要はないけど、

  でもそこに留まり続けたりはしないで、卒業すべきだ』って。

 人は、宗教を卒業したときに、何か光明を得るのかもしれないですね。」

たしかに、

イエス・キリストはキリスト教徒ではないし、

ゴータマ・仏陀は仏教徒ではない。



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2014/08/13 完筆


『大家族』

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