エピソード10 『自由の空へ』
- ・
- 2023年3月17日
- 読了時間: 2分
エピソード10
しばしの沈黙のあと、ゆうこさんは続けた。
「…おせっかいかもしれないけど…
翔子ちゃんあなた、亮くんと寝てみたら?」
「は!?寝るって!?」
「そうよ。セックスよ。」
「ままま、待ってくださいよ!冗談でしょ!?」
私は、一気に脂汗をかきまくった。
「冗談なもんですかぁ。
あなた、今までの話、聞いてなかったわけぇ?」
「…いや、聞いてましたけど…」
「翔子ちゃん、セックス嫌いなの?」
「………………。
何と答えていいんでしょうか…。」
「ウフフ。やっぱりウブなのねぇ。
否定しないってことは、嫌いではないんでしょ?
別に、恥ずかしがることなんてないのよ。
女の子なんてみんな、セックス大好きなんだから。
清楚な顔してたって、みーんな、セックス大好きなんだから。」
「そうなんですか?」
「そうよー!
みんな恥ずかしくて、素直に言えないだけよ。
そうじゃなかったら、出会い系サイトなんてのが流行したりしないわ。
隠れてコソコソしてる子たちが、大勢いるってことよ。
…あ!そっか。東京に彼氏がいるの?浮気はまずいものねぇ。」
「いえ。今はいないです。」
「じゃぁ、問題ないんじゃない?
いいじゃない!アバンチュール。彼、けっこうイケメンだし♪」
「だからって、あんなチャラっとしたナンパ男とは…」
「あら?さっき言わなかったっけ?
彼はもともと、チャラ男なんかじゃないのよ?ナンパなんかしないし。」
「え?そうなんですか?」
「そうよ。
私がけしかけたから、ナンパとかやってみちゃっただけなのよ。
彼、もともと、あなたとよく似てるわ。真面目で貞淑よ。
精神性が高いし、人助けが好きな子よ。
だから、わざわざフィンランドまで行って心理学勉強したわけでさ。
それで、あなたみたいに心理学の限界に気付いて、
それで今、生真面目さを手放しはじめたところなのよ。」
「…そうだったんだ。」
『自由の空へ』