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エピソード11 『全ての子供に教育を』

エピソード11

結局、そのプライベート・ツアーとやらを組んでもらうことにした。

一般的なトレッキング・ツアーは、2泊3日で2,000バーツ(7,500円くらい)程度だけど、

俺のプライベート・ツアーは、1日(往路のみ)で1万バーツ(2万5千円くらい)だ。

往路のみと言っても、ガイドは空っぽの車でチェンマイに戻ってこなければならない。

すると実質、2日分の労働やガソリンを強いることになるのだ。

いや、本来であれば、その倍の金額になるはずだった。

上記はあくまで、タイ人ガイドの場合であり、日本人ガイドを付けるなら、倍額になる。

でも、1万バーツで済んだ。

利典さんのご厚意だ。なにしろ、彼がそのガイドを務めてくれるのだ。

この上なく、力強い味方だった。



翌日、早速チェンマイを出発した。

旧市街の寺院を2~3観光したかったところだが、まぁ、しょうがない。

朝は早かった。早朝4時に、利典さんの家を出た。


利典さんは、穏やかな性格の割りに運転はハードだった。

「飛ばさないと、日が暮れてしまう!」のだそうだ。もっともだ。

まだ、日が昇ってすらいないけれども。


車は、東に走った。

日の出に突っ込むようなあんばいで、どんどん走り続けた。

出発が朝早い分、車内で眠ろうと思っていたのだが、

日が昇りきるまでは、まぶしくてそうもいかなかった。


おかげで、色々と話が出来た。

タイのチェンマイの、日本人街でもなんでもない場所に、

家を構えて暮らしているのだ。そうとうに味わい深い人であるはずだ。



若い頃は色々と、旅して周ったらしい。

「どの国が面白かったですか?」と尋ねると、

「中国の奥地とモンゴル」という答えが返ってきた。ディープだ。


モンゴルでは、しばらく遊牧民のテントで暮らしたらしい。

遊牧という生き方は、過酷そうに思える。俺には想像もつかない。

もちろん、大変は大変であるらしい。

が、日本人がマイホームにしがみつき、ローン地獄に縛られ続けるのと比べれば、

遊牧のほうがだんぜん気楽だ、と言っていた。

一理ある。…のかどうか、無知な俺にはよくわからない。

しかし、色んな暮らし方があるのだなということは、考えさせられた。

高価なマイホームに憧れ、頑なに守ろうとすることは、

諸行無常の現世を考えると、とても滑稽なことなのかもしれない。無理があるのだ。

本来、人間というのは、

暑さ寒さ、興味や天変地異に応じて、適した場所に移住すれば良いのかもしれない。


香里さんとは、旅先で出会ったらしい。

香里さんもまた、一人旅を愛するような人なのだ。

やはり、原始的な暮らしが好きであるらしい。

だから、山岳民族の村々に、飽きることなく通うのだ。



朝10時頃、ナンという町に到着した。

ガソリンの補給を行い、小休止を挟む。

俺は、少々の甘いものと、ペットボトルの水を買った。

俺が目指す村には、売店すら無いらしい。


『全ての子供に教育を』

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