エピソード11 『花ちゃんのつぶやき』
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- 2023年4月12日
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エピソード11
そろそろ、
私自身の話に、戻りましょう。
前述の通り、私は、
ある小学校のそばの通学路に、芽吹きました。
薄いサンゴ色の花が咲くまで、そこで過ごしました。
ある時、
その学校に通う2年生の女の子が、
私に見惚れ、私を摘んで帰ってくれました。
とても可愛らしい顔をした、あおいちゃんという子です。
彼女は、私を連れ帰ると、
おやつも食べず、真っ先に、
私を花瓶に活けてくれました。
深い碧の、彼女の名前と同じ色の、花瓶でした。
その碧の美しさを、私は、とても気に入りました♪
私は、ステキなマイホームを手に入れたのです。
また、
その家に住む、30歳過ぎの2人の男女は、
私のサンゴ色と花瓶の碧のコントラストを、
「とても美しい♪」と、褒めてくれました。
この家の住人は、
色に対する感受性が、とても強い方たちだったのです。
それだけでは、ありませんでした!
彼らはなんと、
私たち「花」が意識を持っており、
人間と会話出来ることを、知っていたのです!
彼らは、
毎日のように、私に話し掛けてくれました。
「可愛いね」「ありがとうね」
と、言ってくれるのです。
私は日々、エクスタシーの連続でした♪
花という生き物は、スケベなのです。
私たち「花」は、スケベであることを隠しません。
受粉を待ち望み、ミツバチやチョウに愛撫されることを待ち望み、
毎日、毎日、めいいっぱいに花弁を広げます。
美しく色づきながら、ダンスに誘われるのを待ちます。
朝露や春雨に、性器を濡らします。
そのような、私たちの艶かしい姿を見て、
人間の女性たちは、「美しい!」と、言ってくれます。
私たちのエロスを、「美しい!」と感じてくれているのです。
…しかし、
人間の女性たちは、
「色とりどりに着飾る」というところまでは、私たち「花」を真似ても、
艶かしくエロスを体現するところまでは、真似てくれません…
そのことを、
とてもとても、残念に感じます…。
『花ちゃんのつぶやき』