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エピソード12 『アオミ姫』

エピソード12

「ねぇ、トコッシー?

 お風呂沸(わ)かすのに、どれくらい時間かかる?」


「お風呂?1週間はかかるんじゃないかなぁ。」


「1週間!?何バカなこと言ってんのよ!!」


「だって、この小屋にお風呂なんて、無いんだもん。

 お風呂入るなら、お風呂を造ることから、始めなくちゃ♪」


「はー!?あなたは、どうしてるの?」


「昨日、言わなかったっけ?

 泉が、お風呂の代わりさ♪」


「泉に飛び込むの!?正気なの!?」


「泉に飛び込むことくらい、オレンジの町の人だって、やってるよ?

 姫さん、プールにも入ったこと無いのかい?

 それと同じようなモンだよ♪」


「ホンキなのね…

 で、水着は?」


「水着?そんなモノは、無いよ。

 欲しいなら、自分で作ればいいんじゃないかな?

 僕は、水着の必要性は感じないけど…」


「うぅ…ハダカで入るしかないってわけね…」


アオミ姫はしぶしぶ、ハダカで泉に飛び込むことに、決めました。


「あ、トコッシー!

 アオミの護衛(ごえい)、してくれる?

 アオミ、泳げないし、服を盗まれちゃうかもしれないし…」


「かまわないよ。見張ってればいいんでしょ?」



アオミ姫は、小屋の外に出ました。


「おや?姫様も、水浴び?」

またもや、フラミースと出くわしました。

フラミースは、はだかんぼうです。


「あなた、ハダカで泉に入って、恥ずかしくないの!?」


「恥ずかしいもなにも…

 ここには、誰も居ないでしょ?

 タヌキやオオカミは居るかもしれないけど、

 べつに、恥ずかしくはないわ♪」


「あ、そう…」

どうも、アオミ姫に同調してくれる人は、居ません。



アオミ姫は、

泉のほとりで、服をぬぎ始めました。

ふと、小屋に目をやると、

窓から、トコッシーがこちらをながめています。


「ちょっとアンタ!

 レディのハダカを見るって、どういうつもりなの!?」


「えー!?

 見張りを頼んだのは、姫さんのほうだぜ??

 姫さんがイヤっていうなら、僕、部屋でそっぽ向いてるけど?」


「そうしてちょうだいよ!当然だわ!」


「…でも、

 姫さんがおぼれたり、オオカミにおそわれたりしても、

 気付くのがおそくなっちゃうけど、いいかい?」


「えー!?それは困るわ!!

 ちゃんと見張っててよ!!

 小屋の中に突っ立ってるんじゃなくて、泉のそばに待機(たいき)してて!」

「じゃぁ、姫さんのハダカを、まじまじ見ることになっちゃうけど、

 それでイイんだね?」


「えー!?それは困るわ!!」


「…じゃぁ僕、どうしたらいいの?

 姫さんは、ワガママ過ぎるやぁ。

 僕は、姫さんの要望に対して、ぜーんぶ、

 出来ることを、してあげてるぜ?

 それでも不満だって言うなら、僕らは気が合わないから、

 他の小屋でも、探したほうがいいんじゃないかい?」


「他にも、小屋があるの?」


「それは知らないよ。僕はヨソ者だもん。

 オレンジの町の人たちは、この小屋の情報しか、持ってなかったけど…」


「じゃぁ私、どうしたらいいの!?」


「自分で、小屋も造ったらいいんじゃない?」


「そんなの、ムリに決まってんじゃない!!」


「アレもコレもムリだって言うなら、

 もう少し、謙虚(けんきょ)になったほうが、いいんじゃないかなぁ?

 それに、キミが、

 男性である僕と共同生活をしたいなら、

 僕に対してくらいは、ハダカを見せる覚悟が無いと、

 不便すぎてキツいんじゃない?」


アオミ姫は、何も、言い返す言葉がありませんでした…

姫のワガママは、城の外では一切通用しないし、

トコッシーの前では、一切通用しません。


姫は、しぶしぶ、

ハダカになって、泉につかりました。

泉の水は、とても澄(す)んでいました。

そして、水面(みなも)が、ところどころキラキラ光っていました。

まるで、水の精霊がダンスでもしているかのようです♪


姫は、美しい水面を眺(なが)めていると、

みるみるうちに、気分がおだやかになっていくのを、感じました。

泉の水には、そういうフシギな魔法が、あるのです♪


『アオミ姫』

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