エピソード12 『クラシックの革命児』
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- 2023年4月10日
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エピソード12
第2部では、
なんと、奏者全員が頭にハチマキを巻いて出てきた!
左半分の奏者が白いハチマキで、
右半分の奏者が赤いハチマキである。
さらに、指揮者の中島さんとやらは、
学ランを着て、ハチマキと手袋をしている!
どうやら今度は、応援団長に扮しているらしい。
彼はまた、自らマイクに向かってしゃべった。
「第2部は、観客参加型のコンサートです」と説明した。
プログラムの裏の右下の辺りに、小さく数字が振ってある。
コレが、宝くじのような役割を果たすらしかった。
そして、小さな抽選ボックスを取り出すと、
客席に下りていって、近くの子どもに一枚引かせた。
その数字を読み上げ、
該当するお客に、前に出て来てもらうのである。
その観客は、「指揮者のプチ体験」が出来るのだ!
「コンサート・ホールで指揮台に立つ」などというのは、
1万人に1人も、経験出来ないものだろう。
そのような機会を、一般の観客にも提供しようというのである!
ちなみに、
当選者が幼稚園児である場合には、保護者が付き添うようだった。
演目は、「天国と地獄」だった。
運動会の徒競走などで、よく掛かっているあの曲だ。
または、「カステラ一番、電話は二番~♪」の曲と言えば、
わかって頂けるだろうか?
およそ誰でも知っている曲である。
まずは、中島さん自らが、お手本を見せた。
一回、普通に指揮を振ると、
次は、テンポを途中で変えたりしながら、指揮を振った。
速いときは極端に早く、
主旋律を吹くトランペットなどが付いていけなくなるほどだった。
そういう時、
イタズラっぽい手振りで、「もっと速く!」と煽るのだ。
一同は、笑いに包まれる!
次は、極端に遅くする。
指揮者自ら、体をグニャグニャにして、今にも崩れ落ちそうだ(笑)
演奏は、間延びしたカセットテープよろしく、
グニャグニャのスローモーションとなる。
奏者たちは皆、意図的にピッチ(音程)を下げて奏でているようだった。
それがさらに、スローモーションっぽさを演出している。
一同はまた、笑いに包まれる!!
そして、
くじ引きで選ばれた小学4年生の男の子が、
マネして指揮を振ることになった。
中島さんの時と同じように、
最初の一回は、普通の速さで指揮を振る。
純粋に指揮を振る楽しさを、まずは体験する。
そして次は、
男の子の好きなように、テンポチェンジをしながら振る。
空気の読める子だったようで、
極端に速くしたり、遅くしたりを、巧みに繰り返した。
演奏のコミカルさと男の子の微笑ましさに、一同は盛り上がる!!
第2部は結局、
この一曲しか演奏していない(笑)
それでも、あっという間に30分が経過している。
またも、「寝かせません」の公約は、果たされた…!!
第2部が終演したら、再び15分の休憩が取られた。
ちなみに、
毎回、「天国と地獄」で指揮を振らせるのではなくて、
他の曲で指揮を振らせることもあるし、
タンバリンを持たせてパーカッションの列に並んでもらったり、
リコーダーを持たせてずっと「ド」の音を吹いてもらったり、
中島さんと「森の熊さん」を輪唱で歌ってもらったり、
中島さんと社交ダンスをしてもらったり…
様々なバリエーションがあるらしい(笑)
『クラシックの革命児』