エピソード12
三女・絵里香と四女・結衣は、
親元から離れる選択を出来る年齢では、ありませんでした。
彼女たちは、
「4.5畳の部屋に、2人で暮らす」
と言い出しました。
しかも、2人とも、
「私たちも、大学に行かずに、どこかに羽ばたきたい」
と、言うのでした。
三女・絵里香は、すでに大学受験の目前だったというのに、
急転直下で、方向転換を決めてしまったのです!
…私は、思うのですが、
海外放浪や自由な生き方を実践している人間のそばに居る人たちは、
それらの魅力に気付き、パワーに影響され、
自分から、楽しそうに、そうした環境に飛び込んでいきます。
逆に、
安定や定住を選ぶ人間ばかりに囲まれている人たちは、
海外放浪や自由な生き方を、強く恐れる傾向にあります。
事実、
「うちの娘が、依存心が強くて困っている…」と嘆く親御さんたちは、
親自身もまた、
親族や社会保障などに、どっぷりと依存しています。
結局、
親が変わらないと、子どもも変わらないのです…。
さて、
そうしたいきさつから、
私たちは、ログハウスで生活するための準備に追われました。
娘たちの自由が利く、冬休みの頭に、
ログハウスへ引越すことになりました。
家のサイズが縮小するため、
家具は、ずいぶんと手放すことになりました。
娘たちは、
「フリマ」なるイベントを見つけてきて、
処分する運命に決まったものを、次々と売っていきました。
ほとんどお金にはならなかったようですが、
見知らぬ人たちと値段交渉したり、物々交換したりするのを、
えらく楽しんでいるようでした。
終いには、
近所の公民館の遊戯室を借り切って、
自分たちで、フリマを企画してしまっていました。
一体、
いつの間に、こんなに逞しくなっていたのでしょう!?
妻・翔子に、
「前からこうだったかな?」と尋ねてみると、
「あら!あなたがリストラされてからよ♪」
という返事が、戻ってきました。
…どうも、家族というのは、
同じように成長し、同じように変化するようです。
『リストラ後の7回裏で…』