エピソード13 『アオミ姫』
- ・
- 2023年3月31日
- 読了時間: 2分
エピソード13
時間は、9時になりました。
姫たちは、何時かわかっていないけれど…。
「さて、僕はもう、出発するからね?」
「出発って、どこへ?」
「どこかって?そりゃ、わからないよ。」
「は?何を言ってるの?お昼ご飯を探しに行くの?」
「違うよ。旅に出るんだよ。目的地なんて無いから、
どこに行くのかは、僕にだってわからないさ。」
「…それで、アオミたちは、どうしたらいいの?」
「それは、僕にはわからないよ。
姫さんは、どこに行って、何がしたいんだい?
自分の行きたい場所で、好きなことをすればいいさ。
じゃぁね♪」
トコッシーはあっさり、ドアから出ていこうとします。
「ちょちょちょっとー!待ってよ!
私たち、どうしたらいいの!?」
「だから、それは、僕にはわからないよ。
姫さんが自分で決められないんだったら、
城の執事(しつじ)に決めてもらうしか、ないんじゃない?
礼儀作法(れいぎさほう)のお勉強とか、算数のお勉強とか、
色々と、ためになるヒマつぶしを、用意してくれるんじゃない?」
「えー!!
それがイヤだから、私、抜け出してきたのよ!!」
「じゃぁ、
次にやることを僕に聞いても、意味がないんじゃない?
僕が、『姫、礼儀作法の勉強しましょう』って言ったら、
キミ、言われた通りにするのかい?」
「しないわ!礼儀作法の勉強なんて、コリゴリよ!!」
「じゃぁやっぱり、
僕にたずねたりしないで、自分で決めたほうがいいよ。
キミ、鳥みたいに自由になりたいんだろう?
鳥はいつだって、自分で決めて生きてるぜ?」
「そんなこと言ったって…
何をすればいいかなんて、アオミには、わからないんだもん…」
「何をすればいいか、それを考えるチカラが無いなら、
もう少し、謙虚(けんきょ)になったほうが、いいんじゃないかな?
それで、アイデアをくれる人に、感謝したほうがいいよ。
キミの執事は、キミが出来ないことを、やってくれてたんだぜ?」
「執事じゃなくて、お母さんよ!」
「どっちでもいいよ。とにかく、感謝することさ。
じゃぁ、僕はもう、行くよ?」
「ちょっと待ってー!!!
ねぇ?私も着いていく…」
「え?誰に着いていくの?」
「誰にって、トコッシー、あなたによ…。」
「僕、旅をするんだよ?
キミ、旅をするの?」
「わかんないわ。
とにかく、この小屋にいつまでも居たって、つまんないし…
追っ手が来ちゃうかもしれないし…」
「とにかく、『城から逃げたい』っていうのが、
キミのやりたいことなんだね?」
「たぶん…そうなんだと思う…。」
「じゃぁ、僕に着いてくればイイよ。
僕は、城なんて興味無いから、城とは正反対に進んでいくからさ。」
『アオミ姫』