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エピソード13 『守護天使 -愛と奉仕の物語-』

エピソード13

タッ君は、次はユウ君という名前で産まれました。

ユウ君は、タッ君と同じように、日本の千葉県に生まれます。

大都市東京からほど近く、かといって、周囲は自然がたくさんありました。



タッ君の家は、宗教施設と隣接していました。

その宗教は、仏教でもなければキリスト教でもありません。

伝統宗教ではなく、いわゆる、新興宗教の類でした。


新興宗教というと、日本では、不正のイメージが拭えませんね。

しかしその団体は、きわめて誠実で、まっとうな宗教性を保っていました。

厳密に言えば、宗教でもないのです。

その創始者は、宗教教祖となることを、嫌いました。

あくまで「スピリチュアリズムの教師」であり、「精神のカウンセラー」でした。

イエス・キリストと同じような境地に達していたと言えるでしょう。

この団体・教祖は20世紀の日本に実在しましたが、あまり有名ではありません。


ユウ君の両親は、その思想団体の熱心な後援者でした。

両親もまた、確かな霊性と尊い信仰心を持っていたのです。

ユウ君は、つまり、

霊的探求者のサラブレッドのような環境で、生まれ育ったのです。

しかし面白いことに、

ユウ君自体は、小学校にも入るともう、霊的なものを毛嫌いしはじめます。

その思想団体は、周囲からは新興宗教と同等に見られており、

新興宗教は、現代日本人にとって、危ういものであったからです。


ユウ君は、父やその創始者から、

霊性におけるきわめて根幹的な真理だけを汲み取り、

それ以外の宗教的な部分は、全てそぎ落としていました。

「人間の本質は、肉体ではない」

「あらがえられない運命のようなものが、存在している」

「霊的な不可視存在が、周囲にただよっている」

このような霊的根幹を、彼は、日常生活の中から汲み取っていました。

恥ずかしながら、守護天使としての私は、

ほとんどまるで、役に立っていません。私はおよそ何も、教えていません。



私は、ユウ君を助けたかったのに、

むしろ、ユウ君を悲しませるようなことばかり、しなければなりませんでした。

彼は、魂に刻まれた能力が多大すぎたため、

人生を補助するよりも、むしろ、減法調整する必要があったのです。

減法調整しないと、運動も勉強も、上達しすぎてしまうのです。

彼は、黒子のように目立たない人生を生きるライフプランだったので、

何にせよ、あまり頭角を現しすぎると、都合が悪いのです。


ですから私は、

雨上がりの雑木林で探検するユウ君を、わざと転ばせ骨折させるような意地悪を、

しなければなりませんでした。

そうして、ユウ君の運動神経や芸術神経(ギターを弾く能力など)を、減法調整したのです。

または、ぜんそくの発作が出るように調整し、時々学校を休むように仕向けました。

そうでもして勉強を遅らせないと、

彼は、劣等生の立場を味わうことが、出来ないのです。

劣等生の立場を味わうことも、とても大切なプロセスなのです。


骨折もぜんそくも、彼をずいぶんと苦しめ、人生の足をずいぶと引っ張りました。

それが露呈するたびに、加害者である私も、苦しくて仕方がなかったです。

守護天使の仕事には思いがけない苦しみが伴うことを、知りました。


『守護天使 -愛と奉仕の物語-』

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