エピソード14 『「おとぎの国」の歩き方』
「ダライラマが!?この村に居るの!?」
ダライラマって知ってる?チベットの王様みたいな人だよ。
政祭一致って言うの?王様であり、坊さんなんだ。よく知らないけどね。
継承制度で名前を継いでて、今は14世くらいじゃなかったかな。
「ご本人が居るわけなかろう。おっほほ!
おぬし、この村のストゥーパ、見たじゃろ?
あれは、昔から、代々のダライラマ様を奉っておる。
ストゥーパの下に雨よけがあるに。旅人は、そこで雨をしのぐ。
ダライラマ様からのご命令じゃ。」
「何それ!?善意なの?いやがらせじゃないの?」
「ご好意よ。おっほほ!
龍の国じゃからな。おっほほ!」
「まぁいいけどさ。
ちぇっ。寝袋持ってくるんだったなぁ。」
別にいいんだよ。野宿だってさ。
あんまり野宿慣れしてないけど、たまにはいいさ。
婆ちゃんは、話を終えると再びしゃがみこみ、
何かぶつぶつと言いながら、土いじりをしていた。
僕は、ひととおり集落を巡ってみた。
といっても、家なんか4軒しかない。村とも言えないよ。
ストゥーパも見て、雨くらいはしのげそうなことを確認すると、
婆ちゃんのところに戻ってきて、草ぬきを手伝った。
他に何も、することがないからさ。
「おぬし、土いじり、好きなんか?」
「いや?別に。」
「人助けが、好きなんか?」
「いや、別に。
他に何も、することないからさ、
何もなきゃ、土いじりもするよ。」
「そうじゃ。そのとおりよ。おっほほ!」
山地は、日が暮れるのが早い。
夕暮れと同時に婆ちゃんは帰っていき、
僕はストゥーパの下に座り込んだ。
夜冷えに備えて、持っている服を全部着込んだ。靴下も3枚はいた。
夜半になると、
さっきの婆ちゃんがご飯を持ってきてくれた!
「泊めないとは言ったが、メシをやらんとは言っとらん。おっほほ!」
何なんだ?この婆ちゃんは。
真夜中。
寒さにおびえる僕に、思いがけない助っ人が現れた。
さっきの…ば
婆ちゃん、じゃなくて、番猫だった!
さっきの白い番猫は、
何も言わずに僕のもとにやってきて、
僕にピタっとくっついて、そのまま丸くなった。
「…暖めてくれてんの…!?」
そうであるらしかった!!
『「おとぎの国」の歩き方』



