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エピソード14 『アオミ姫』

エピソード14

一行を率(ひき)いたトコッシーは、小屋を出ると、

本当に、城とは反対側に向かいはじめました。


「ちょっと、トコッシー?

 道は反対よ?泉の裏に、何があるの?」


「何も無いよ。

 だってキミ、城のほうには、行きたくないんでしょう?

 城の追っ手に、見つかりたくないんでしょう?

 だったら、道の無い場所を歩くしか、無いんじゃないかな?」


「えー!!正気なの!?」


「正気だよ。

 だってさ?全ての道は、どれだって、

 最初はただの藪(やぶ)だったんだぜ?もしくは、荒野だよ。

 誰かがそこを切りひらいて、道を作ったから、道になったってだけだよ。

 だから今、

 目の前の道が不都合な状況っていうなら、

 新しい道を切りひらくしか、ないんじゃないかな?」


「そんな途方も無いこと、イヤよ!!」


「いいよ?

 あの道を通って、立て札のところまで、戻るかい?

 僕としても、そのほうがラクだしさ。

 けど、キミ、城の追っ手に見つかっても、知らないよ?」


「それは困るわ!!」


「じゃぁ、

 藪(やぶ)の中を歩くのと、城の追っ手に見つかるのと、どっちがいい?」


「どっちもイヤよ!!」


「じゃぁ、小屋で飢(う)え死にするかい?


「それもイヤよ!!

 あなた私に、ゴウモンばっかり強制するの!?」


「あはははは!

 僕は、何一つ、キミに強制していないぜ?

 選択肢を整理してるだけさ。

 城から抜け出したのも、小屋に泊まったのも、泉に浸(つ)かったのも、

 決めたのは、キミだぜ?

 だーーーーれも、キミに強制してないよ?

 キミ、自分が選んだことに対して、モンクばっかり言ってるよ?

 おっかしーなぁ!」


「そ、そうか…

 全部、アオミが自分で決めたことだったわ…」


「そうだよ。

 僕は、何一つ強制してないさ。

 むしろ、キミが望んでることに対して、

 カラダ張って、助けてあげてばっかりなんだけど…。

 助けてあげてんのに、モンク言われてばっかりだなぁ。

 『ありがとう』って言葉、まだ1回も、耳にしてないけど…。」


「…ごめんなさい…ありがとう…。」


「そうそう♪謙虚(けんきょ)になることさ♪

 自分で何にも出来ないうちは、

 とにかく、謙虚でいなくちゃいけないよ。

 周りの人たちは、動物や草木もふくめて、ぜーんぶ、恩人(おんじん)さ♪

 モンクを言うのは、

 なんでも自分で出来るようになってからのほうが、いいぜ?

 誰も手をかしてくれなくなっちゃったら、困るのは、自分自身さ。」


「私、ワガママ過ぎたのね…」


「そういうことさ♪

 まぁ、金持ちってのは、貴族にかぎらず、たいていワガママだよ。

 …で、どうする?

 藪の中、歩いていくかい?僕は、どっちでもいいんだけどさ。」


「フラミース、あなたは、どっちがいいの?」


「私は、お城にはもどりたくないから、

 藪を切りひらいてでも、進んでいくわ。」


「だよね…。わかったわ。藪を進むわ…。」


『アオミ姫』

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