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エピソード14 ロッドの真実

エピソード14 ロッドの真実


しばらくすると、周囲のざわめきは落ち着いたようだった。

すると、

五月雨(さみだれ)が降り出すかのごとく、ロッドがそっと話しはじめた。

その声は、ミシェルにも聞き取ることができた。

「いい子だね。とてもいい子だ。

 ふがいない兄で申しわけなかったけど、君たちの命は守ってみせるよ。」

「兄!?だれ!?どういうこと!?」

「君たちのお兄ちゃんだよ。ロッドだ。そうだろう?」

「お兄ちゃんはおうちのベッドの中だよ?」

「そうだよ。でも違う。

 今ベッドにいるのは、『ロッドの抜けがら』だよ。」

「ぬけがら!?」

「そうさ。あれはもう、抜けがらだ。

 本当はね、勇敢(ゆうかん)な男になるべくして、ロッドは生まれたんだ。

 でも、社会の世知辛(せちがら)さに勝てなかった。それで引きこもってしまった。

 だからロッドの魂は、ロッドの体から抜け出すことにしたんだ。

 サイラスとロイスは、2人しか産む予定はなかったんだが、

 そんなわけで、急きょもう二人、産むことになった。ミシェルとキャロルだよ。

 そして僕ロッドは、キャロルのぬいぐるみに入ることにしたんだ。」

「だからお兄ちゃんと同じ名前だったの!?」

「そうだよ。偶然でもなければ冗談(じょうだん)でもない。

 キャロル?君は良い子だ。

 君はあまりかしこくはないが、いつでも僕に忠実(ちゅうじつ)だった。素直だった。

 家族に怒られても、友達にいじめられても、

 それでも僕を愛してくれた。僕に忠実であり続けてくれた。

 だから小学生を過ぎてもなお、君の霊聴は閉じなかった。」

「………。」二人はだまって聞き入った。


ロッドは続ける。

「いや、訂正(ていせい)しなくちゃならないな。

 『君の命を守る』なんて言ったけど、

 むしろ、君の寿命(じゅみょう)を縮めてしまうかもしれないよ。」

「どういうこと!?」

「僕の役目というのは、君を冒険させることなんだ。

 神隠しとか魔女に会うとか、そういうね。

 冒険ってのは時に、死と背中合わせなんだよ。

 心臓がちぎれるほど走って逃げなきゃならなかったり、

 お腹と背中がくっついてしまうほど、空腹に耐(た)えなきゃならなかったりする。

 冒険っていうのはそういうもんだ。

 でも、冒険をしなきゃ人は強くなれないんだよ。一人前にはなれない。

 女の子は特にそうさ。いつまでもだれかにおんぶしてもらいたがってしまう。

 甘ったれな女性ばかりなら、社会は堕落(だらく)する。

 いや、男の子もダメだ。ロッドがそうであったように。

 もう今どき、男の子は口が達者なだけで、てんで軟弱(なんじゃく)になってしまった。

 スーパーマンにはあこがれるが、パンチやキックを真似(まね)るだけだ。

 君の手を引いて森の中に分け入っていく勇気なんてない。

 だからミシェルは女の子にした。女の子のほうが上手くいくかもと思ってね。」



『ミシェル』

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