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エピソード15 『伝説の教師 -金八さんのその先に-』

エピソード15

「ちょっと質問しようか?」

アベさんは珍しく、自分からセクションを組み立てた。

「はい。答えられる自信はまったくないですけど…」

「今の教育、何が問題だと思う?」

「何を改革すべきか?という意味ですか?」

「そうだな。そういう質問だ。」

「うーん…

 まず、道徳の授業をもっと充実させるべきじゃないかと思います。

 金八先生の国語の授業って、なんか道徳の授業みたいじゃないですか?

 いや、ホームルームがああなってんのかな。

 とにかく、情操教育っていうか道徳っていうか、そういうのが必要なんじゃないかな。」

「オマエ…オレの話を聞いてたのか!?」

「え!?」

「スケールが小さすぎる。圧倒的に。

 今の教育、何が問題だと思う?

 すべてだ。」

「すべて!?」

「あぁ、『すべて』ってくらいに思ったほうがいい。

 そうじゃないとまともな改革にならんだろうよ。

 さっき言っただろ?

 意味のない授業を1,000時間もやりすぎてんだよ。 

 高校の教科書なんざ、誇張でなく、全部不要なんだ。

 特に、5教科的な教科書問題だな。

 それをあらかた撤廃すべきだな。

 高校の教科書なんて、全部いらねぇ。全部だ。

 あんなの一般常識じゃなくて専門分野だ。

 高校の授業の内容なんて、大人は誰も覚えてないだろう?

 でも誰も、社会で困ってはいない。

 ソニーやトヨタ、大企業さんのお偉いだって微分積分なんぞ覚えてねぇよ。

 でも誰も困ってない。

 それなのに朝6時に起きて8時間勉強して、鬱になっても宿題までやらされる。

 バカじゃねぇのか!?

 人間の脳を、心を潰す気なんじゃねぇかと思えるよ。恐っそろしい。

 高校の勉強ができるやつは頭がいいと思うか?

 そうだけど、そうじゃねぇ。

 高校の勉強が無意味だと気づかないんだから、致命的にバカだ。

 暗記能力はあるんだろうが、知性が0だな。

 インド人やベトナム人が日本に進出してくる。

 グローバルに活躍している。

 奴らは東大生並みに知識を詰め込んだのか?

 違う。

 奴らは掛け算割り算までしかやってねぇぞ。

 湿度の出し方なんて知らねぇだろう。

 それでも日本人よりもたくましく海外進出して、外国でビジネスする。

 日本語だって覚える。日本文化にだって適応する。

 …わかるか?

 学校で教えるべき内容が、日本は致命的に間違ってんだよ。

 高校の授業なんて何も要らねぇ。

 中学の授業もほとんど要らねぇ。

 中間だ期末だっつって子供らを暗記に追い立てて、何になる?

 忍耐のトレーニングにしかなってない。

 または、カンニングのテクが身に付くだけだ!わっはっはっは!それも重要か!

 もっと他のことを教えたほうがいいし、

 もっと他のことに時間を使わせてやったほうがいい。

 だから、通信教育の高校なんか行って好きなことに打ち込んでるヤツのほうが、

 大成するんだよ。賢い大人になる。

 大成したいなら、名問大学どころか名門高校だって行かないほうがいいぜ。

 通信学校か高専にでも行って、やりたいことやったほうが良い。」

「はぁ…」

「断言するがな。

 日本の教育が、中学校の教科書の内容を7割削減でもしないかぎり、

 今の閉塞的な日本は続くぜ。

 表面的な学力だけはそこそこ高く、でも世界には出られない、仕事すらできない、

 そんな世の中がな。

 教師は何をやればいい?手詰まりだ。

 言ってしまえば、

 一人ふたりを優秀な切れ者に育てたところで、意味ねぇんだ。

 それじゃ日本の未来は変わらない。

 それどころか、その切れ者たちは潰される。『出る杭なんとやら』だ。

 だから俺は、教育には興味を失った。」


『伝説の教師 -金八さんのその先に-』

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