エピソード16
20分程度、眠ったらしかった。
利典さんが、優しく俺を起こす。
目の前に、夕食が用意されている。
野菜のスープと、ペチャンコのパン。
そして、ふかし芋のようなのが大量に転がっている。
非常に簡素な食事だ。
…別に、文句を言うつもりはない。俺はそんなにグルメではないし。
パンは、およそ味がない。
スープも、味は非常に薄い。精進料理のレベルだ。
芋は、それなりに甘みがある。
全体的に言って、不味くはない。美味いとも言えないが。
とにかく、非常にありがたかった。
食事をもてなしてくれて、本当にありがとう。
料理が俺の口に合う(?)のを見届けると、
奥さんは、奥の部屋に布団をセッティングしはじめた。
とても静かに作業をする。黙々と、そして上品に。
さっきのコーヒー屋とは大違いである。
ひとしきり満腹になると、
俺は、早々に眠らせてもらうことにした。まだ20時だが。
利典さんは、村人に挨拶をしにいった。
夜半に戻ってきて、俺の横で眠りに就いたようだった。
『全ての子供に教育を』