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エピソード16 『沖縄クロスロード』

エピソード16

行くしかなかった。

いや、そんなことない。左の明るい道を選んだって良かったんだ。

でも、誰ひとりそう主張する人はいなかった。

無言のままに、アイコンタクトすら無しに、3人の意思は共通していた。

満場一致。わずか0秒で、会議は終了していた。



ユカは、「良い友を持ったもんだなぁ」と思った。

こんな地球の果てみたいなところで、それを痛感した。

こんな地球の果てみたいなところだからこそ、痛感できたんだろうけど。


ユカたち3人は、とにかく、ケンカをしない。

会話の量はあまり多くないけど、ケンカが起きない。

テレビやマンガを見ていると、

ツッコみ、ケンカし、罵り合うことが友情の証みたいに賞賛されている。

ユカもいっときは、そういう友情に憧れた。平和すぎるこの友たちに、不満を覚えた。

でも、それは間違っていたんだと判った。この時さらに、痛感した。

友情なんて、平和で良いんだ。空気みたいに穏やかで良いんだ。

テレビやマンガのキャラたちがツンデレに罵り合うのは、

それはただ単に、ストーリーを盛り上げるためだよ。作家の浅知恵なんだ。

マンガなんて、映画なんて、デフォルメばかりでリアルじゃない。

この小さな冒険を通じて、ユカはそれを痛感した。



…実際のところ、

漆黒のトンネルを抜けるとき、そんなことを考えていた。

闇を見つめなかったし、恐怖にフォーカスはしなかった。

無視してしまえば、それは無いのと同じなのだ。



100メートルも歩くと、家の灯りが見えてきた。

ユカたちは、汗臭い体も気にせず、最後の力を振り絞って、なだらかな丘を越えた。

慣れないあぜ道のキャリーカート引きに、右手もすっかり痺れきっていた。


「結びの宿」

やった!正解だ!

手作りの可愛い看板に、ユカは思わずキスをした。



「すみませーん」

玄関は開いていたので、勝手に敷居をまたいで入った。

「あらららら?お客さんなの?」

中から、40代くらいの女性が顔を出した。

「お客さんなんです。くたびれました!」

くたびれました。こんなにくたびれたのは、いつぶりだろう。


「あらぁ。本当にお疲れのようね。

 でも…うちは完全予約制なのよ。」

女性は申し訳なさそうに、頭をかいている。

「えー!!」

 ここまで来て、門前払い!?

「す、すみません。知らなかったもんで…

 どうにかなりませんか?3人とももうクタクタで…」

「うーん。予約してなくても別に、融通は利かすんだけど、

 うちはそもそも、ほとんど毎日満室なのよ。 

 だから、門前払いが起きないように、予約制を銘打ってるの。

 今日も、空きがなくて…」

「ガーン…」

万事休す。と肩を落としたそのとき、アクシデントは追い討ちを掛ける…!


『沖縄クロスロード』

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