僕は、
昼頃まで、その電車に乗っていた。
16時間ほどの、長旅だった。
電車は、
「予想通り」に「予定外の時間」に到着した(笑)
1時間くらいは、遅れてたねぇ…
僕は、駅の近くのメイン通りに、テキトーに宿を取ると、
近所の散歩に繰り出した。
アスワンは、観光都市として賑わっているけれど、
元々は、商業都市なんだ。
中東が、シルクロードの中心地として貿易で栄えたことくらいは、
キミも知ってるだろう?
エジプトにも、市場ってモンが腐るほどあるよ!
中でも、アスワンで有名なのは、
色とりどりの香辛料と、ハイビスカス・ティーなんだ。
香辛料は、わざわざご丁寧に、
食卓塩のフリフリ小ビンみたいのにパッケージングされてたりは、しないよ?
もっぱら、「量り売り」なんだ。
コーヒー豆の専門店みたいに、
30cm四方くらいのボックスが15も20も並んでる。
そのボックスに色んな種類の香辛料を詰めると、
なかなか壮観な眺めだよ♪
真っ青な香辛料とか、真ミドリな香辛料とか、
キミ、見たことある!?
ハイビスカス・ティーの葉っぱも、
同じようなケージに、グレード別に詰め込まれているか、
または、簡素な透明ビニール袋に小分けされてたなぁ。
日本で買うより、100倍くらい安いよ(笑)
…大体、日本は、
ハイビスカスに限らず、ハーブティが高過ぎるんだよ(笑)
だから、ホントーにハーブティが好きなヒトは、
自分で苗を植えて、自給自足しちゃってるよね♪
エジプトの市場の商人たちは、手強いぜ!!!
発展途上国の商人たちは、
エジプトに限らず基本的に、押しが強くエゴが強いんだけど、
そういうのに馴れっこになってた僕でも、
「エジプトの商人はグレードが違う!!」って呆れちゃったもん。
彼らの、「オニーサン、見ルダケ!見ルダケ!」というコトバは、
「オニーサン、買ウマデ離サナイヨ!!」ってイミなんだ(笑)
それだけじゃなく、
ホント何から何まで、デマカセばっかり言うよ!
発展途上各国の市場では、
商売人たちの勧誘に乗っかって、
チョっと話し込んだり、値段を尋ねてみたりするのも、それなりに楽しいよ?
けれども、エジプトの商売人は、
「ウザい!!」以外の、何者でもナイね(笑)
僕は、ギターを背負って歩いてたから、
モノを売りつける意図のナイ商売人からも、よく声を掛けられた。
彼らの店先に座って、リクエスト通りに歌うんだけどさ、
30分ほども歌った後に、
「あと1曲だけ!」って、5曲も催促してくんだよ!!
「もう、ノドが疲れたからカンベンしてくれぇ」
って、真顔で懇願してんのに、
「でも、あと1曲!」って、
笑顔で、凝りずに、言い続けんのさ!!ビビったよ!!
ヤツら、
「他人の苦しみ」を共感・同情する回路が、
完全に、停止してやがんだ!!!
旅先で、ネイティブたちにリクエストされて歌って、
「不愉快だ!!」って思いをしたのは、
後にも先にも、アスワンの市場だけだったなぁ…
『導かれし者たち』