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エピソード17

僕は、

昼頃まで、その電車に乗っていた。

16時間ほどの、長旅だった。

電車は、

「予想通り」に「予定外の時間」に到着した(笑)

1時間くらいは、遅れてたねぇ…



僕は、駅の近くのメイン通りに、テキトーに宿を取ると、

近所の散歩に繰り出した。

アスワンは、観光都市として賑わっているけれど、

元々は、商業都市なんだ。

中東が、シルクロードの中心地として貿易で栄えたことくらいは、

キミも知ってるだろう?

エジプトにも、市場ってモンが腐るほどあるよ!


中でも、アスワンで有名なのは、

色とりどりの香辛料と、ハイビスカス・ティーなんだ。

香辛料は、わざわざご丁寧に、

食卓塩のフリフリ小ビンみたいのにパッケージングされてたりは、しないよ?

もっぱら、「量り売り」なんだ。

コーヒー豆の専門店みたいに、

30cm四方くらいのボックスが15も20も並んでる。

そのボックスに色んな種類の香辛料を詰めると、

なかなか壮観な眺めだよ♪

真っ青な香辛料とか、真ミドリな香辛料とか、

キミ、見たことある!?

ハイビスカス・ティーの葉っぱも、

同じようなケージに、グレード別に詰め込まれているか、

または、簡素な透明ビニール袋に小分けされてたなぁ。

日本で買うより、100倍くらい安いよ(笑)

…大体、日本は、

ハイビスカスに限らず、ハーブティが高過ぎるんだよ(笑)

だから、ホントーにハーブティが好きなヒトは、

自分で苗を植えて、自給自足しちゃってるよね♪


エジプトの市場の商人たちは、手強いぜ!!!

発展途上国の商人たちは、

エジプトに限らず基本的に、押しが強くエゴが強いんだけど、

そういうのに馴れっこになってた僕でも、

「エジプトの商人はグレードが違う!!」って呆れちゃったもん。

彼らの、「オニーサン、見ルダケ!見ルダケ!」というコトバは、

「オニーサン、買ウマデ離サナイヨ!!」ってイミなんだ(笑)

それだけじゃなく、

ホント何から何まで、デマカセばっかり言うよ!

発展途上各国の市場では、

商売人たちの勧誘に乗っかって、

チョっと話し込んだり、値段を尋ねてみたりするのも、それなりに楽しいよ?

けれども、エジプトの商売人は、

「ウザい!!」以外の、何者でもナイね(笑)

僕は、ギターを背負って歩いてたから、

モノを売りつける意図のナイ商売人からも、よく声を掛けられた。

彼らの店先に座って、リクエスト通りに歌うんだけどさ、

30分ほども歌った後に、

「あと1曲だけ!」って、5曲も催促してくんだよ!!

「もう、ノドが疲れたからカンベンしてくれぇ」

って、真顔で懇願してんのに、

「でも、あと1曲!」って、

笑顔で、凝りずに、言い続けんのさ!!ビビったよ!!

ヤツら、

「他人の苦しみ」を共感・同情する回路が、

完全に、停止してやがんだ!!!


旅先で、ネイティブたちにリクエストされて歌って、

「不愉快だ!!」って思いをしたのは、

後にも先にも、アスワンの市場だけだったなぁ…



『導かれし者たち』

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