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エピソード17 『お遍路さんの集まる喫茶店』

エピソード17

…彼への事情聴取を、続けましょう。


「…それで、

 どうして寝袋すら持ってないっていうのに、

 石鹸と歯ブラシが、あるの?」

一体、彼の価値基準が、皆目、理解出来ませんでした…。


「え?

 寝袋が無くて困るのは、僕一人だと思ったから…。


 でも、

 石鹸や歯ブラシで、体を清潔にしなかったら、

 他人に不快な思いをさせて、メイワク掛けるでしょう?

 体を清潔に保つのは、

 『最低限の礼儀』だと思ってるから!」


「あなた、眠ることより、礼儀が大事なの!?」


「んー?

 どっちが大事っていうのは、難しいっスねぇ…。

 でも、

 寝袋無くても、寝ることは、出来るでしょう?

 …まぁ、僕、ガリガリで肉が無いから、

 ベンチとかで眠ると、あちこち痛いんだけど、

 でも、

 ガマンしてると、そのうち慣れてきちゃうんスよ(笑)

 なんでもね、そのうち、慣れちゃうモンですわ♪」



「じゃぁ、

 質問を変えるわ!

 あなた、歩き遍路をしているのに、

 どうしてそんなに、清々しい顔しているの!?」


「え!?

 そりゃぁたぶん、

 あの女の子に水掛けてもらったから、

 リフレッシュ出来ちゃったんですよ♪」


「そういう問題じゃ無いでしょうー!?

 歩き遍路よ?歩き遍路!!

 みんな、

 ヒーコラヒーコラ言いながら、命懸けで、歩いてるのよ!?」


「そりゃぁ、

 みんなは、死を恐れてるからじゃないスか?(笑)」


「は??

 あなたは、死を恐れていないの!?」


「うーん。

 『死ぬほど痛い』のは、イヤだけど、

 死が怖いとは、思わないなぁ…。」


「…あなた、

 何か、宗教を信仰してるの?仏教?」


「いやぁ、僕、宗教はパスですよ(笑)

 『宗教学』として、客観的に勉強するのは楽しいけど、

 特定の宗教宗派を信仰する気には、なれないっスねぇ!

 宗教はぜーんぶ、胡散臭いから(笑)」


「…じゃぁ、

 どうして、お遍路さんやってるのよ?」


「え?ヒマ潰しですよ(笑)

 それ以外の理由って、あるかなぁ…。」


「あなた…

 単なるヒマ潰しで、

 拷問みたいに、炎天下の中、歩いてるの!?」


「クーラーの効いた部屋ん中で、

 クレームの電話を処理しまくるのも、けっこう、拷問でしたよ(笑)」


「…つまり、あなた、

 人生を悟ってしまったのね!?」


「うーん?

 悟った人間は、『私は悟ってます』なんて、

 人にひけらかしたりは、しないんじゃないかなぁ。」


「…つまり、悟っちゃったのね…!!」


『お遍路さんの集まる喫茶店』

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