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エピソード17 『アオミ姫』

エピソード17

20分もあるくと、一行は、町に到着しました。

あちらこちらに、ラベンダーの花がそよいでいます。

心地よい風が、ラベンダーの香りを、町中にふりまいていました。


「んー!いい香り♪」

トコッシーは、大きく深呼吸をしました。

「あぁ、もう元気になっちゃった♪」


「そんなわけないじゃないのよ!」

アオミ姫は、イライラしながら言いました。


「姫様、ホントに元気になるよ♪

 深呼吸、してごらん?」


フラミースは、夢見心地な顔で、言いました。


アオミ姫は、言われた通りに、深呼吸してみました。

あらビックリ!

本当に、心も体も元気になってしまうのでした。

ラベンダーには、そういうフシギな魔力が、あるのです。



「ここは、ライラックの町ね。」

フラミースが、つぶやきました。


「フラミーちゃんあなた、

 こんなところまで、来たことがあるの!?」


「来たことは、無いわ。

 本で読んだことがあるから。

 ラベンダーに囲まれた、美しい町のこと…。」



一行は、町の中まで進んでいきました。

「BAR(バル)」と書かれた赤レンガの建物に、入っていきました。

レストランとホテルを、兼(か)ねたような場所なのです。


「すみませーん。

 お食事と寝床(ねどこ)は、助けてもらえませんかー?」

トコッシーは、物怖(ものお)じすることなく、声を張り上げました。


カウンターの下から、

店の主人が顔を出しました。


「おや?見なれない方々ですね。

 よその町からいらしたのですか?」

とてもていねいで、お上品な話し方でした。


「えぇ、よその町から旅してきたんです。」

トコッシーは、さわやかな笑顔で答えました。


「それはそれは、ご苦労様です。

 食べ物やベッドを提供(ていきょう)して差し上げたいのですが、

 なにぶん、この町には、規則(きそく)があるのです。

 よその町の方々の場合、

 少し、審査(しんさ)をしなくてはならないのです。

 それは、この町の上品な治安(ちあん)を、守り続けるためなのです。」


「ちょっとー!

 私たち、何時間も歩いて来たのよ!?

 審査とかなんとか、エラそうなこと言ってないで、

 まずは、お茶の一杯でも出したらどうなの!?

 私、姫よ?姫!」


「大変申しわけございません…

 あなた様には、食事や寝床を提供することは、出来ないようです。

 審査というのは、『礼儀作法(れいぎさほう)』なのです。

 礼儀知らずな方は、おもてなしすることが、出来ません…」


「あはははは!

 こりゃ、参(まい)ったねー!

 姫さん?アンタ、

 城で毎日、礼儀作法のお勉強、したんじゃなかったんだっけ?」


「…礼儀作法の家庭教師はいたけど…

 ほとんどサボってばかりいたのよ…!」


「もったいないなぁ。

 礼儀作法を教えてくれる先生なんて、そうはいないよ?

 その貴重(きちょう)な授業を、ないがしろにしてしまったのかい?

 もったいないなぁ…もったいない。」


「えー!!

 私、礼儀作法の勉強させられるなんて、不幸なんだと思ってたわ…!!」

 ちょっと、フラミース!

 あなた、礼儀作法なんて習ってないでしょ?

 メイドなんだから、家庭教師なんて雇(やと)えないもの。

 あなたも、野宿よね?」


「いえ、

 こちらの女性は、礼儀作法のオーラを、持ちあわせておりますよ。

 おもてなしさせていただくことは、じゅうぶんに、可能です。」


「は!?どうしてそうなるの!?」


「姫様、私、

 礼儀作法の家庭教師は居ないけど、自分で本で勉強したのよ?

 昨日話したでしょ?『読み書きできると、楽しいことがいっぱいある』って。」


「あはははは!

 お金が無くたって、知恵がある人は、

 問題を解決出来ちゃうんだよ♪」


「ノンキに笑ってるけど、

 トコッシーなんて旅人なんだから、本なんか読まないでしょ!?」


「僕は、旅する中で、

 見よう見まねで、礼儀作法を学んできたよ?

 本っていうのは、旅することの代用品に過ぎないから、

 旅ばっかりしてるなら、本すら必要ないよ♪」


「おそれいりますが、テントをお貸ししますので、

 お姫様だけは、裏庭でご宿泊いただけますか?

 お食事は、特別に、おもてなしさせていただきますので…。」


「アオミだけ!?この犬だって、礼儀知らずでしょ!?」


「…いえ?

 こちらのワンちゃんは、

 じゅうたんを汚さないように、土間のところにチョコンと座って、

 礼儀正しく待機(たいき)されているようですが…。」


「ホトミの裏切り者ー!!」


「あははは!

 他人にモンク言っても、しょうがないさ!

 姫さんがサボってきたから、こうなっちゃったんだよ?

 誰も、姫さんにイジワルしてないさ。

 姫さんが、自分で選んだことの、結果だよ?」


「うぅぅ…全部、アオミが選んだことなのね…」


『アオミ姫』

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