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エピソード18 『真理の森へ』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月18日
  • 読了時間: 2分

エピソード18

車道に戻ると、車は再び飛ばしました。

やがて、プルッキラという町に到着したようでした。

ここには、アンティの実家があるのです。


アンティの実家は、ふるい木造の家でした。

しかし、外観は優しいクリーム色で、古くても洒落ています。

この日はちょうど、そのクリーム色を塗りなおしているところでした。


ペンキ塗りにはげんでいるお父さんを見つけるや、

アンティもカティも、それを手伝いはじめてしまいました。

私は車移動にやや疲れていて、ソファでお茶でも飲みたかったのだけど、

ペンキ塗りを手伝っているうちに、そんな疲労感も忘れ去ってしまうのでした。

やがて、お母さんがコーヒーと焼きたてクッキーを持ってきてくれて、

表の手すりをテーブル代わりに、ナチュラルなティーパーティが始まりました。


お父さんもお母さんも、70歳くらいです。

お土産屋で見かけたドワーフ人形みたいな顔をしています。

ずんぐりしていて愛くるしいのです。

お父さんは鼻頭が赤く、ヨッパライみたいで笑ってしまいした。



そしてまた、日曜大工が再開します。

アンティは裏から脚立を持ってきて、2階の壁を塗っています。

大変じゃないのかなぁと、不安げに眺めていると、

どうもアンティ、鼻歌なんか歌っています!

「大変じゃないよ?楽しいさ♪

 フィンランドの男たちは、日曜大工が好きなんだよ。たいていね。

 ユスキュラのあのマンションだって、オンボロの状態で買ってきて、

 カティと二人でリフォームしたんだ。」

そういえば、建物自体はかなり年代物ぽかったな。

「ワシだって手伝ったんだぞ!」

と、お父さんもアピールしています。

「家をイチから建てちゃう人も多いよ?

 やりがいあるからね!人件費を節約できるしさ。

 1年も2年も掛かっちゃうから、途中でウンザリしてくるけど、

 それでも楽しいよ。

 何にせよ、自分でやりたがるんだ。フィンランド人ってのはさ。」

アンティは、子供みたいにイキイキしています。本当に楽しいのでしょう。

そしてこれもまた、生活費を節約する生活の知恵でもあるらしいです。


『真理の森へ』

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