エピソード19 『ヒミツの図書館お姉さん♪』
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- 2023年3月6日
- 読了時間: 3分
翌土曜日、その舞台はやってきた!
見知らぬ人たちの前で読み聞かせをするのは、
私にとって、生まれて初めての経験だった!!
会場となる遊戯室は、図書館と同じ建物にあり、
学童の保育所も兼ねていたため、
定員の30名はすっかり埋まっていた。
…っていうか、絶対、
30より多い数の子どもたちが、私を見つめていた…(汗)
私は、「アナグマのもちよりパーティ」という本を、選んだ。
「初めての読み聞かせはこの本にしよう」
と、小学生の頃から決めていたの♪
この本は、
私みたいに商売じみた会社で働くのに抵抗がある人は、
きっと気に入ると思うんだ♪
会場のセッティングは、誰かがやってくれていた。
…といっても、
遊戯室の角にイスが置いてあるだけだったけど(笑)
私は、ちょっと迷ったけど、
イスはどかしてしまった。
そして、フローリングの床にぺたんと座り込んだ。
このほうが、子どもたちと目線が近いから♪
子どもたちも、そのほうが、
読みやすいし、親しみやすいと思うから♪
2時ちょうどに、
私は、読み聞かせを始めた。
簡単に名前を名乗って、
いつものおばさんではない理由を、説明した。
子どもたちにとって、
読み手が誰であるかは、あんまり関係ないようだった(笑)
「キョコちゃんって呼んでね♪」
って呼びかけたら、
「キョコちゃーーん!!」
って、みんなが笑顔で応じてくれた♪
私はもう、それだけで、
天にも上る気持ちになってしまった(笑)
タレントさんたちの気持ちが、わかったような気がした♪
本を読み始めると、
みんなの笑顔はしずまり、口をぽかんと開けて、
夢中で話に入り込んでくれた!
「少し長過ぎるかも…」と、不安もあったのだけれど、
誰一人、途中でグズったりすることなく、聴き入ってくれた!
私がおどけて読めば、
みんな、笑ってくれた!
調子に乗った私は、
2箇所ほど、アドリブを挟んでしまったくらいだ(笑)
大盛況のうちに、15分が経った!
私は、うれしくて泣き出してしまった(笑)
「キョコちゃん、なんで泣いてんのー?」
と、みんな困惑してしまった(汗)
「ごめんごめん!
みんながあんまりにも優しいから、
私、うれしくて感動しちゃったの…。
それに、『キョコちゃん』って名前、覚えててくれて、ありがとーう♪」
私は、何から何まで、うれしかった!!
一体、世の中の大人たちというのは、
どうして、自分が好きな仕事をやらせてもらっているのに、
客に文句を言ったり、給料に文句を言ったり、
つまらなそうな顔で作業したり、するのだろう?
…その答えも、多分、解っていた。
みんな、「好きでもない仕事」を、イヤイヤにやっているからだ…
つまり、
「ボタンの掛け違い」のようなことが、起こっていると思う。
みんな、お金や体裁、将来のことなどを考え過ぎるあまり、
みんなが自分の好みとは違う仕事を選び、
みんなが相手の好みとは違う仕事を押し付けあっている…
「楽しい」と感じられる仕事は、人それぞれ違うし、
また、時期によっても、違うはずだよね?
10年後の私が、司書を愛しているかはわからないし、
読み聞かせを愛しているかは、わからない。
10年後の私が、すでに飽き飽きしているとしたら…
私は、終身雇用などにはこだわらず、
給料の額にもこだわらず、
新しい仕事に、移っているような気がする。
多分、ガーデニングみたいなことを、やっている気がする。
そんなふうにして、みんな、
どんどん「席替え」していけば、良いと思わない!?
ちょうど、
私たちの世代が社会人になったくらいの年から、
転職サイトみたいなのが、流行りだしたのだ。
きっと、若い人たちの多くは、
私みたいに、気ままに「席替え」をしていくと思う。
常に、自分が笑っていられるように…♪
パンパンパンパンパンパンパン…!
泣きべその私は、
やけに大きな、清めの拍手(かしわで)のような拍手(はくしゅ)にビックリして、
我に返った!
…まさか…!?
『ヒミツの図書館お姉さん♪』