エピソード19 『真理の森へ』
- ・
- 2023年3月18日
- 読了時間: 2分
エピソード19
気付けば、カティが居ない!
私はカティを探し、玄関にカティの靴があるのを発見。
家の中に入ったようです。
私も丁寧に靴を並べ、中にお邪魔してみることにしました。
カティは、お義母さんと一緒にキッチンに居ました。
さっき摘んだベリーを、お義母さんと一緒に煮込んでいます。
「ひょっとして、ジャム作り!?」
私は興奮して飛び込みました。
ジャム作りは、小さいころにお母さんとやったことがあります。
甘ーい匂いがキッチン中に広がって…それはそれは夢のような時間♪
「半分は普通のジャムにするわ。冬用のストックにね。
でも、もう半分は煮込まないわ。ミキサーで潰すだけ。
それで、砂糖をちょびっとだけ加えるの。」
カティは、指先でペロっと味見しながら、言いました。
「どうして全部は煮込まないの?」
「うふふ。どうして煮込む必要があるの?」
カティは、質問に質問で返してきました!
「???」
私は、意味がわかりません。
「うふふ。
ジャムってそもそも、保存食なのよね。
夏場に摘んだベリーを冬にも食べるために、ジャムっていう調理をしたのよ。
煮込むのも、砂糖をたっぷり入れるのも、全ては長期保存のためなの。
でも、今は時代が変わったから、べつに冬でも生のベリーが買えるのよ。
であれば、わざわざ長期保存用の加工なんて、必要ないんじゃない?
ベリーは摘みたてのほうがみずみすしくて美味しいし、
砂糖を入れすぎるのは甘すぎちゃう。
みんな要するに、パンに塗るフルーツ・ペーストが欲しいんでしょ?
だったら、わざわざ煮込んでビタミン壊さなくても、ただミキサーで潰せばよくない?
お砂糖も、最低限だけにして、ね。」
カティの言う理屈はなんとなくわかったけど、
「ジャム加工するのは蛇足なことだ」というのは、いまいち実感がわきません。
そうして首をかしげていると、
「うふふ。食べてみればすぐわかるわよ♪」
カティはそう笑い、
私の目の前でベリーをミキサーにかけ、それをパンに塗って差し出してくれました。
「…!
美味しい!!」
頬いっぱいに、ベリーのみずみずしさが広がるのです。
「でしょう!?
長期保存の必要性がないなら、わざわざ煮込まないほうが良いのよ(笑)」
『真理の森へ』