僕は、なるべくなら、「ひげマリオ」たちにダマされたくは、ナイ。
「ダマされること」も、貧乏放浪の醍醐味の一つではあるんだけれど、
もう、充分過ぎるほど経験してきたから、
ハデにダマされるようなことは、なるべくなら、避けたい。
どの「ひげマリオ」を選べばイイもんか、ちょっと迷った。
けれど、
どーせ、みんな「5ドル!5ドル!」と言っているから、
誰を選んでも大差ナイだろうと思ったし、
3ドルが相場のところを5ドル払わされたとしても、大した痛手にはならない。
僕は、相手の顔も見ず、テキトーに、
着いていく「ひげマリオ」を決めた。
彼は、僕の荷物を一つ持つと、
満面の笑みで、僕を彼の愛車に案内した。
玄関の入り口から、5分くらいも歩かされた。
カイロ空港の駐車場は広く、
それよりも更に遠いところに停まっている車も、ゴロゴロあった。
彼の「白タク」は、
白い、標準的な自家用車だった。4人乗りのヤツだ。
まぁ、車種なんてどうでもイイよ。走ってくれれば満点さ。
いつもどおり、そんな大らかな気持ちで車に乗り込んではみたけれど、
僕が後部座席に乗り込んでも、車は出発しない…
…???
それどころか、
僕の愛しい「ひげマリオ」は、
僕を置き去りにして、どこかに消えてしまった…!!
ヤツは、
5分もすると、そしらぬ顔で戻ってきた。
…見知らぬオジサンを連れて…(笑)
オジサンは、
僕の隣に座ると、軽く会釈してきた。
外国人旅行者ではなく、エジプト人のようだった。
ヤツは、更に、
空港の玄関に、客引きをしに行った。
5分ばかしもすると、
2人連れの男性客がやってきた。やはり、エジプト人のようだ。
4人乗りの乗用車に、
ガタイの大きな大人が、5人…!?
僕は、イチイチ文句を言う気にも、ならなかった。
これくらいの「コミコミプラン」は、良くあることさ(笑)
…結局、
この車に僕が乗り込んでから15分以上も待たされて、
ようやく、車は出発した(笑)
風景のことはよく覚えてナイけれど、
発展途上国でも、国際空港があるような大都市は、
日本のそれと、大して変わらないことが多いよ。
大きな2車線/4車線の道路に、
等間隔に、オレンジ色の外灯が光ってる…
まばらに樹木が茂っていて、かろうじて、酸素を保っている…
日本との違いと言えば、
「走っている車が、とんでもなくボロい」ということだろう。
3~40年前の型式と思われる車が、我が物顔で走ってるよ!
トーゼン、排気ガスがヒドい!!
発展途上国の大都市は、排気ガスでめちゃくちゃ臭い!!
それらの車の中には、
「日本人のお古」も、少なくナイんだ。
「TOYOTA」や「NISSAN」などのロゴマークを、よく見かけるよ。
彼らは、日本車がとてもお気に入りらしいのだけれど、
中でも、「SUZUKI」自動車の評判が、イイ。
彼らは、日本車のテレビ・コマーシャルなんて見ないから、
知名度やブランド性よりも、
純粋に、「性能そのもの」で、車を評価している!!
「日本人のお古」というコトバには、
もう一つのイミがあるんだ。
「勅使河原旅館」とか、「剛田建築株式会社」とか、
そんな、コテッコテの日本語ロゴが入った車を、
とっても良く、見かけるんだよ(笑)
トーゼン、
車に書かれたロゴとは全く違う業種の人が、その車を運転してるから、
日本人がハタから眺めてると、そのギャップが面白い(笑)
…こんなふうに、
発展途上国の町並みは、
都会にせよ、田舎にせよ、
ヘンなモノがそこかしこにゴロゴロしてるから、
何気ない散歩や移動時間でも、ゼンゼン楽しいんだよ♪
「バックパッカー」と呼ばれる人種は、
別に、有名な観光地に行かずとも、
こうした何気ない街角から、
たくさんの「ニヤニヤ」を、見つけ出せるヒトたちなのさ♪
『導かれし者たち』