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エピソード20 『星空のハンモック』

エピソード20

その日の晩、

私は、ハルコさんにもらった絵を持って、屋上へと上がった。

そして一人、カツミくんのことを思い出しながらハンモックに寝そべる。



月とはぐれた 星の子たちは

どんなメロディだったかな。思い出せない。

いったいカツミくんは、メロディというものをどこから紡ぎだしているんだろう?

作曲家というのは、まるで帽子からハトを取り出すマジシャンみたいだ。


この星空の果て…宇宙には、ブラックホールなるものがあるらしい。

そしてどうも、カツミくんの頭の中にもブラックホールのような空間があって、

あるはずのない音楽を、彼はそこから取り出したりする。

私たちの脳の中にはブラックホールがあって、

私たちの知らないモノが、そこには無数にとっちらかっている。

または、瞬間的にハルコさんみたいな人が描きあげているのか?

とにかく、この世にまだ存在していないものが、ブラックホールの中にはある。

私の知らない世界が無数にあって、

私の知らない私が、まだきっと、無数にある。


さしずめ、

月がカツミくんで私が星の子。

大きな月と、消えそうなくらいに小さな星。


…いや、まてよ?


惑星の中には、月より大きいものもたくさんあるはずだよね。

地球から見たら、星より月のほうが大きく見えるけれど、

また別の場所から見たら、星は月より大きいのかもしれない。

カツミくんより大きな私が、どこかにいるかもしれない。

月とはぐれても、泣いちゃだめなんだ。

自分の大きさ、偉大さに気づいたほうがいい。

星は星で、たくましくさまよい、胸張ってまたたいていていればいい。

するとまたいつか、

月と星は同じ配置に戻ってくる。10年後か1,000年後か知らないけれど。


月とはぐれた 星の子のはなし

それこそが、「のり付け」しない生き方の秘訣だ。


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2016年04月30日 完筆


『星空のハンモック』

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