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エピソード21 『「おとぎの国」の歩き方』

エピソード21


翌朝、

僕はカメレオン村とやらに向けて、アジナを発つことになった。

今度の水先案内人は誰かって?迦楼羅(かるら)の爺さんさ。

大丈夫だよ。爺さんは競歩の選手じゃないし、マラソン選手でもない。


爺さんは、色んな話をしてくれた。

ためになったよ。でもそれ以上にいいヒマ潰しになった。

12時間も歩くのはタイクツだしさ、やっぱ一人だと、考えるネタも尽きてくるし。


「ねぇ?お爺さんはガルーダ、僕は龍。他にも何かあるの?」

「あるとも。

 虎、獅子、迦楼羅、龍。

 魂の成熟度は、この4つの性質で論ぜられる。


 地球のほとんどの女たちは、未だ虎だ。虎が手本となる。

 虎は、狩りをして、家族を養う。命を賭けて、狩らねばならない。

 女たちもまた、同じ試練を背負っておる。

 しかしほとんどの女は、その試練から逃避し続けておる。

 男に養わせている女はつまり、虎の試練から逃避する者たちだ。

 するとどうなるか?

 何回でも、何千回でも、女として生まれおちる。

 そして、何回でも獅子に食い殺される。獅子とは、男のことだ。

 虎は強いが、獅子よりは弱い。

 何千回生まれようとも、獅子に痛めつけられる。

 獅子に…男に痛めつけられるのが嫌なのであれば、

 虎の試練から逃げんことだ。自ら狩りをし、家族を養うべし。

 自ら命を賭して、家族を養うべし。


 男たちは、獅子だ。獅子が手本となる。

 『獅子は子を谷底に突き落とす』

 こうした言葉が、日本にもあるであろう?

 獅子は百獣の王である。王たる子を育てなければならない。

 そのために必要なことは、谷底に突き落とすことだ。

 残酷に思えるが、そうでもしないと、立派な獅子には育たない。

 人間も同じ。子を甘やかしては立派な大人に育たない。

 妻も同じ。妻を甘やかしては立派な人間に育たない。

 男たちは、嫌われるのを覚悟の上で、憎まれるのを覚悟の上で、

 子や妻を、谷底に突き落とさなければならない。厳しく突き放さなければならない。

 それが出来んうちは、

 何回でも何千回でも、浮世の男として生まれおちる。


 虎と獅子を成し得た者は、迦楼羅(かるら)となる。ガルーダだ。

 迦楼羅の試練は、昨日話したな。

 龍を、そしてときには他の者たちを、

 その広い翼に乗せて運ぶ。遠い世界へいざなう。


 龍は、その全てを包括する。全てを兼ねる。

 それを若いうちから成し得なければならない。

 そして、新しい王国を造る。」

「新しい王国…ひょっとして、それがカメレオン?」

「カメレオンもまた、そうした王国の1つだな。

 まぁ、行けばわかる。」

何か面白い話してんな!この爺さん。


「カメレオンやシャンバラに行ける人は、生まれつき決まってるってこと?

 龍しか行けないんでしょ?」

「そんなことはない!

 あくまで、『龍が達しやすい』というだけであって、

 迦楼羅でも虎でも獅子でも、辿りつける可能性は、ある。

 しかし、虎や獅子に生まれてシャンバラに辿りつく者は、ごくごく少ない。

 辿りつくだけなら不可能ではないが、

 未熟な者が辿りついたところで、周りが迷惑する。

 そればかりか、行った本人も楽園には感じられないじゃろうて。」

「ふーん

 僕なんかが行ったら迷惑じゃないの?若造だよ、僕。」

「ほっほっほ。だから、この国がおぬしを試した。

 国境の者がおぬしを試し、廃村のストゥーパがおぬしを試し、

 老婆がおぬしを試し、過酷な山道がおぬしを試した。

 おぬしはそれらの難関を、自らの手足でくぐり抜けてきた。

 しかも、案外気楽そうな顔をしてな。ほっほっほ。」

「すごいの?僕。」

「おそらくおぬしは、

 『こだわりが薄い』のであろう。『弱点が無い』んじゃな。

 どんな環境であろうと、どんな寝床であろうと、『まぁいいか』と思える。

「まぁ、そうだね。バックパッカーやってりゃそうなるよ。」

「かといって、

 バックパッカーなる旅をしようと思う者自体が、少数であろう?

 その感性こそが、龍の特徴・龍の武器と言えるかもな。

 虎や獅子たちは、高級なホテルや豪勢な食事にしか、興味を持たん。」 



『「おとぎの国」の歩き方』

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