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エピソード21 『ミシェル2 -世界の果て-』

エピソード21

10分ほど歩いたからしら、

ついによ!ついに、水色のヌビア村に到着したの!!

ここに、あの人がいるのかしら。レオが。

いや、ポストカードが届いたのはもう3ヵ月も前。今はもういないかもしれない。

あれ?そうよ。

今さらポストカードの場所に追いかけてきたって、

彼がずっとそこに留まり続けてるとは限らないんだった…!!

私は急に、胸がしくしくしてきちゃった。冷や汗もかいてる。

ここまで来たことって、すべて無駄だったのかもしれない…。


しばらくカカシみたいに力なく立ち尽くしちゃって、

でも、また歩き始めたわ。

何か、彼の消息を知ってる人がいるかもしれないじゃない?

彼が居る可能性だって、ゼロじゃないんだし。


村はとても静かでね。人が全然いないの。

私は誰か人を探して、とにかくテキトウに歩いた。

角を3つくらい曲がって、子供たちが遊んでるのは見たわ。

たしかに、真っ黒な肌をしてる。アフリカ人っぽい感じよ。


さらに歩くと、前方から、

美しい民族衣装を着た背の高い女性が歩いてきたわ。30歳くらいかしら。

私はたまらず駆け寄って、そして話しかける。

「こんにちは。ここはヌビア村ですか?」

「そうよ。ようこそ。」彼女はにっこりとほほ笑む。

良かった!やっぱりヌビア村だわ。

良かった!英語が通じる。

「あの、3ヵ月くらい前に、

 絵描きの西洋人が来ませんでしたか?男の人。」

「絵描き?西洋人は時々やってくるけど、

 絵描きはわからないわね。」

「クロッキーノートを持っているんです。絵画用の大きなノート。

 それと、紺色のデイリュックを背負っていると思う。」

「紺色のリュックっていうもありきたりね…

 大きなノートを持った西洋人っていうのは、記憶にないわね。

 でも、私が見てないだけでこの村には来たかもしれないわ。

 他の人にも聞いてみたらいいんじゃない?」

「そう。どうもありがとう。そうしてみます。」

私は少し落ち込んで、でもひるまずに歩き続けたわ。

でも…

会う人会う人に尋ねても、誰も絵描きの西洋人なんて見てないっていうの。

3人聞いてもダメ。5人聞いてもダメ。10人聞いてもダメ。

12人目か13人目だったかしら。

教師をしているという利発そうなおじさんが、思いがけないことを言うの。

「そもそも、この村じゃないんじゃないか?」

「え!?そんなことはあり得ないわ!」

「ここは小さな村だ。その彼が2~3日も徘徊したなら、

 間違いなく誰かは彼を見ているはずだよ。

 そもそも、この村は観光業をやってないから、ポストカードなんて作ってない。」

「え!?」たしかに、店なんてぜんぜんないの。角の商店でコーラ買うのが精いっぱい。

「ちょっとそのポストカード、見せてごらんなさい。」

私は震える手で、彼にポストカードを差し出す。ゴクリ。

「やっぱり。

 これはヌビアじゃない。シャウエンだよ。モロッコの。」

「嘘よ!!そんなはずないわ!!」

「よく見てごらんなさい。

 このポストカードは、地面も水色に塗られているだろう?

 この村は、水色なのは壁だけだ。地面は土だよ。

 それに、こんな階段状の地形はこの村にはない。

 間違いない。これはシャウエンだし、

 そうじゃないとしてもヌビアではない。」

「そんな…!!」

私は顔面蒼白になってしまったわ。


教師の彼が家に案内してくれて、

私に食事と真っ赤なハイビスカスティーをごちそうしてくれたの。

それがとても美味しくて、特にハイビスカスティーが絶品で、

私は少し、元気を取り戻した。

「振りだしね。また一から探し直しだわ。」

「そんなことないよミシェルちゃん。

 あれはシャウエンで間違いない。今度こそ確定だよ。

 それに、君はアフリカ大陸に突入してきている。近付いてはいるじゃないか。」

「モロッコってどこにあるの?私、知らないの。

 アフリカって旅するのが大変って聞きました。

 エジプトでももうメゲそうなのに、さらに過酷なとこをさすらえるかしら…。」

「大丈夫さ。モロッコはアフリカ大陸の一部だが、

 エジプトと同じで最北端にある。スペインの近くだよ。

 ヨーロッパの文化も入ってきていて、南のアフリカよりはずっと旅しやすいはずだよ。」

「本当?」

「本当さ。か弱いお嬢さんには厳しい国とは言えるが、

 ここまで来れた君なら、大丈夫さ。」

「アスワンから飛行機で飛べるかしら?」

「それはちょっと無理だな。

 カイロまでは一度戻る必要がある。そこから飛行機だ。」

「そうよね。」


帰りも教師のおじさんが船着き場まで送ってくれたわ。

私はそのまま宿まで戻って、あとはゆっくり休息した。

今日もたっぷり歩いてクタクタよ。旅ってくたびれるの。でも楽しい。


『ミシェル2 -世界の果て-』

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