エピソード23 『リストラ後の7回裏で…』
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- 2023年3月25日
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エピソード23
私たちが自作するものは、
どんどん増えていきました。
特に木工細工が、私たち一家のお気に入りのようでした。
かと言って、
木製の深皿が100個在っても、何の意味もありません。
三女・絵里香が、
「ネットで販売すれば?」
と、提案してきました。
それはなかなか、面白いアイデアでした♪
…かと言って、
私たちは、お金に困っているわけではないし、
材料費はほとんどタダ同然ですから、
いくら人件費が掛かっているとは言えども、
それでのうのうと商売するのは、何だか気が引けました。
私は、家族に幾つかの提案をしました。
1、「フリマ」くらいの値段を付けること。
2、売り上げは、児童福祉施設などに寄付すること。
3、娘たち二人で、ショッピング・サイトを構築・管理すること。
4、派手な宣伝・営業をしないこと。
5、自己成長を目的に、行うこと。
以上の5点でした。
まず、無償で提供することは、
欲深い人間を引き寄せることにもなりかねないので、控えました。
「フリマ」程度の値段が、妥当に思われました。
売り上げは、寄付が良いと思いました。
寄付先はどこでも良かったのですが、
恵まれない子どもたちの成長に役立つのが、一番喜ばしく感じました。
私は、簡素なwebサイトの構築は、もう経験済みでしたから、
娘たち二人の、パソコン・スキルの向上を考えました。
また、
売り上げ金額にこだわり出すと、
本質を見失ってしまう可能性があります。
ですから、
特に営業戦略的なことは行わず、ひっそりと運営し、
私たちにシンパシーを感じてくださった方のみが利用してくれれば良いと、
考えました。
最後の項目は、
上記4つのまとめみたいなものですが、
奉仕活動といった気負いも余り持たずに、
とにかく、自己成長のキッカケにしてもらいたいと感じました。
娘たちも妻・翔子も、
この提案に、喜んで賛成してくれました。
とにかく、金儲けにはあまり興味の無い一家であるようです。
無償で手にしたもののほうがハイクオリティであるという摂理を、
痛感しているためでしょう。
…こうして、
私たちがヒマ潰しがてらに作ったものが、
少しずつ、見知らぬ誰かに活用してもらえるようになっていきました。
購入者は、微々たるものでしたが。
売り上げがゼロの月も、稀に在りました。
娘たちは、
サイトの運営だけでなく、メールによる顧客対応も行ったので、
巷の企業に頼らずとも、
一通りの社会性を養わせることが、出来てしまいました。
私たちは、
取り組む内容が、どんどん増えていきました。
それでも尚、
旅行代理店に勤めていた頃よりも、
100倍も自由で、100倍も暇でした。
『リストラ後の7回裏で…』