top of page

エピソード23 『真理の森へ』

エピソード23

2ヶ月ほど経ったある日のこと。

カティは、お尻をふりふりしながら、私の部屋の戸を叩きました。

「翔子!

 日本の恋人から、エアメールが届いてるわよ♪

 リョウって、日本の男性の名前でしょう?」

「亮くん!?」

 私は赤面して、あわててカティから手紙を奪い取りました。

「あらあらぁ!赤面しちゃってぇ♪

 あなた、日本に恋人がいるなんて、一言も言わなかったじゃない?」

「こ、恋人じゃないし…」オドオド。

「恋人じゃないの?それなのに、そんなに赤面??」

「えーっと、実は…」

私は、亮くんのことを、思い切ってカティに話してみました。


「…つまり、

 リョウくんっていうのは、セックスフレンドってことね?」

「え!えっと、いや、あの、その…」

「恥ずかしがることないわよ♪

 日本は貞淑が美徳なのは、知ってるわ。

 でもフィンランド人は、けっこうフリーな恋愛観をしているわ。

 セックスフレンドなんて別に、おかしなことじゃないの。

 恋人がいたって、それ以外にセックスフレンドを持つ人もいるわ。

 フランスやオランダなんかも、そうでしょ?」

「そうなの!?」

「昔はフィンランド人も、一途で貞淑だったらしいけれど。

 いや、一途でも貞淑でもないのに、それを演じなければならない社会で、

 それに耐え切れなくて、女性たちが性改革を起こしたのよ。

 そからはずいぶんオープンになったし、ずいぶん自由になったわ。」

「清楚なフィンランド人女性が…?」

「そうね。おおむね清楚な人種だとおもうわ。

 そのへんはフランス人やイタリア人とは違うし、ラテンとも違うわよね。

 あまりテンションの高い人種ではないわ。でも性欲とテンションは別よ。」

「へぇ。」

「別に、悪くないとおもうわよ?セックスフレンド。

 恋人なんて、『義務の押し付け合い』ですもの。

 『恋人なんだからプレゼントちょうだい!』

 『恋人なんだから迎えに来て!』

 『恋人なんだから週末は遊んで!』ってね。

 私、それがあまり美しい関係性だとは思えないのよね。

 そして実際、恋人たちは、それが重荷になり苦痛になって、険悪になっていく…

 でも、セックスフレンドに対して人は、多くを求めないわ。義務を押し付けない。

 セックスやスキンシップの欲求さえ満たしてくれれば、

 プレゼントも送迎も求めたりしない。ある意味、健全じゃない?」

「へぇ…。」

 へぇとは答えたものの、それは、私がなんとなく感じていたことと同じでした。

 日本でその考えを口にしても、誰も理解してくれそうもないから、

 心の中でうやむやに押し留めていたけれど。

 私が言葉を探していると、カティは続けます。

「日本人って、不思議だわ。

 日本の女性の服装やアニメを眺めてると、

 日本人ってとても性欲が強くて、セックスを貪欲に求めてるんだと思うの。

 そのわりに、社会やパートナーに対しては、性の自由を許さない。

 自分はたくさん欲しいけど、他人の自由は許さない。

 ちょっとワガママなのかも?よくわからないけどね。」

「そういえば、トゥーリも、

 『日本人は本音とタテマエが裏腹だ』って、言ってたな。」

「そうね。良くも悪くも、そういう気質があるんだとおもうわ。

 とにかく、日本の場合、

 よっぽど心の広い人たちでないと、自由恋愛は生きられないとおもうわ。

 嫉妬や恨みが、次々問題を引き起こすでしょうからね。」


カティが退散すると、私は亮くんからの手紙を開けてみました。

「1通くらいは手紙をよこすと思ったのに、水くさいじゃないか!」

といった内容でした。

たしかにそうかもしれません。亮くんは私の恋人じゃないけれど、

私と亮くんは心のつながった親友でもあります。フィンランドは二人の共通項だし。

「落ち着いたら手紙の1つでも書こう」と、出国前は思っていたのですが、

いざこっちに来て、充実した毎日を過ごしていると、

すっかり忘れていたのです。

亮くんのことはよく思い出すけど、手紙を書こうとは思わなかった。

そういえば、以前一度だけ付き合った人にも、

「君はそっけないね」と言われ、フラれたのでした。

私はどうも、ベタベタとした関係が苦手なようです。

メルアドの交換とかもあまりしないし、メール自体もあまりしません。

カティを見ていて、

愛想よく振舞ったり可愛くメールしたりするのもいいことだなと、

感じるようになってきたけれど。


亮くんは、怒っているというよりは私の安否を心配してくれていたので、

フィンランドでの楽しい出来事をいっぱい書きつづって、

カティ、アンティとの3ショットを添えて、お返事しました。


『真理の森へ』

最新記事

すべて表示

エピソード158『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード158 ドラゴンの姿のキキは世界樹の残骸の上にふわりと降り立った。 3人と馬をそっと地面に降ろす。 そしてすぐに10歳の少女の姿に戻った。 キ「ふぅ!みんなお疲れさん♪」 な「キキちゃぁーーーん!怖かったよぉぉ!!」 ななはキキに飛びついた。 キ「よしよし。よくやったねぇ」キキはななを優しく抱きしめ労った。 ゆ「キキちゃん強すぎ!」ゆなもキキを抱きしめる。 キ「へっへーん♪ だから言った

エピソード157『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード157 キキはジロっとエビルプリーストを睨みつけた。 キ「最後はみんなで戦いたいの。協力してくれる?」 3人は力強くうなずく。 キキの背後には、さっきの天使たちが光の粒の姿となってキラキラと輝いた。 キキは両手を構えて魔力を集中させる。 キ「山よ、海よ、花よ、宇宙の無数の精霊たち。そして新たな天使の友人たち。 精霊ルビスの御名の元、今こそ我に力を与(くみ)し賜え。 ただただ不届きものを滅

Comments


bottom of page