エピソード23 『首長の村の掟 -真実の物語-』
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- 2023年3月11日
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集落は、川のそばに築かれていた。
山道からは、
樹の根っこが絡まって作られた、
可愛らしい、「自然の橋」を渡って、到着する。
この橋が、クタクタの旅人たちの心を、ほのかに、癒してくれる♪
かなり急勾配な、山の斜面に、
カレン族の集落は、築かれていた。
建物を建てるところは、平らになるように削ってある。
茶畑のようなイメージだろうか。
しかし、この集落では、
高床式の造りは、見られなかった。
集落の入り口にほど近いところに、
観光者用の大きなロッジが、用意されていた。
これが、クサカベさん夫婦が建てたものだろう。
荷物置きスペースと、雑魚寝スペースが、ざっくり、仕切られていた。
荷物を置くと、
各々、集落の中を徘徊し始めた。
日本人の女の子たちは、ガイドと一緒に、夕食の準備に取り掛かった。
2人とも、奉仕好きなのだろう。
僕は、暗くなる前に、
少し、集落を歩いてみた。
やはり、
村人たちは、ほとんど「我関せず」だった。
小さな女の子たちだけは、観光客たちに近寄って来たが、
手作りのブレスレットなどを、売るためだった。
観光客たちの顔など、さっぱり見ていない。
斜面の上のほうに、
一軒だけ、小さな商店が確認出来た。
商店というよりは、売店か。
しかし、もう閉まっていた。
トイレは、
クサカベさんのロッジから少し離れた場所に、
簡易的なものが、こしらえられていた。
汲み取り式のものである。
「こんなトイレじゃ、用は足せない!」
とわめき出す日本人女性は、多いと思われる…
シャワーも、あるにはあるが、同様な按配だ。
外に佇む、辺鄙な海水浴場のようなヤツだ。
ほとんど、周りから見えたりはしないが、
裸を見られる「覚悟」は、居るだろう。
カレン族の民たちは、どうしているんだろう?
それらのトイレやシャワーは、カレン族たちは利用しないようだった。
濡れタオルで身体を拭くか、
男性なんかは、日暮れ前に、川に飛び込んでいた。
実のところ、
濡れタオルで身体を拭くだけで、
必要な汚れは、あらかた落ちるのである。
先進諸国民は、
「皮脂を、洗い流し過ぎている」のをご存知だろうか!?(笑)
だから、
化粧水の類が、手放せなくなってしまうのだ(笑)
実のところ、
アカというのは、
ある程度は、付着したままのほうが、良いのだ。
それが、皮膚を守ってくれているのだ。
だから、
石鹸やボディソープの使用を、控えるようにした人たちは、
あらかた、乾燥肌から解放されている(笑)
ドラッグストアに並んでいる、スキンケア用品の数々は、
どんどん、僕らをボロボロにしていたのだ(笑)
僕らは、あのような商品の数々を、
「使っても意味が無いと、気付くため」に、使うのである(笑)
実は、僕も、
二十歳前後の頃は、
女の子ばりに、化粧水などのコスメを使っていた。
洗顔後には、ニキビケア用の水溶性の化粧水を付け、
乾燥期は更に、保湿系のクリームを、塗ったりしていた。
やればやるほど、悪化することに気付いたので、
5年くらいで、懲りた。さっぱり、手放した。
最初のうちは、
頬の粉吹きなどが酷かったが、それでも何もせずに、我慢していると、
いつの間にか、肌は健康になった(笑)
アーミッシュという民族を、ご存知だろうか?
アメリカのどこかで、
西部劇みたいなナチュラル・ライフを、続けているらしい。
村に車は走らず、未だに、馬車が現役らしい。
彼らは、思春期まで、
そうしたナチュラル・ライフを、徹底し続ける。
テレビはあるらしく、
外界の便利な暮らしの様子を、知ってはいるらしい。
高卒くらいの年齢になると、
彼らは一旦、集落を離れていく。
そして、外界の暮らしに、どっぷり浸かるのだ。
酒を飲み、カネを稼ぎ、クラブに通い、セックスに耽る。
彼らは、
「自由」が与えられている。
そのまま、便利な外の世界で、暮らし続けても良いし、
古風なアーミッシュの暮らしに、戻って来ても、良い。
…さて、
一体、何割くらいの若者が、
アーミッシュの里に、帰ってくるのだろうか?
あなたも今、予測してみて欲しい。
宜しいだろうか?
帰郷率は、
なんと、
ほぼ100%であるらしい!!
アーミッシュの若者たちにとって、
外の世界の暮らしは、
「便利だし、物珍しいもの」ではあるから、
最初のうちは、楽しくて仕方がない。
けれども、
騙し合いの資本主義経済も含めた、
種種雑多な「外の生活」によって、
彼らは、どんどん、心身を蝕まれていく…
すると、
「この生活は、幸福じゃ無い!」
という結論に達して、
アーミッシュの暮らしに、戻っていくのだ…
日本人たちは、
「反抗期」という形で、
アメリカの俗社会と同じような、心身を蝕むライフスタイルを、経験する。
親の言うことを無視して、
ファーストフード店に溜まり、買い物をしまくり、
親には言えないようなバイトをし、
酒と肉をむさぼり、セックスに耽り…
そうして、やはり、
30にもなる頃には、心身がボロボロになってしまう。
けれども、
日本人の場合、困ったことに、
「なぜボロボロになってしまったか」
それが、よく解っていないのだ(笑)
1,000円のシャンプーを使って、髪が痛んだなら、
1,500円のシャンプーに手を伸ばす。
それでもまだ、髪が痛むので、
2,000円のシャンプーに手を伸ばす…
その不毛なサイクルは、いつまで経っても、終わらない。
そして、シャンプーに限らず、
およそ、あらゆることで、同じようなサイクルを繰り返していく…。
経済学者たちは、
資本主義がもたらす、この不毛なサイクルは、
「21世紀に突入した直後に、打ち止めになるだろう」
と、予測している。
しかし、どうやら、
日本人たちは、まだまだ、
一生懸命、新商品に、虚しい期待を抱き続けている。
デパートに売っている高級品なら、
全ての問題が解決するはずだと、思い込み続けている…
ふう。
どうする?この先…
…僕が、肌荒れの問題を解決した方法、覚えておられるか?
「全てのアイテムを、手放した」のである。
そして、「辛抱強く、待ち続けた」のである。
これが、僕個人にしか有効では無いことなのであれば、
こんなところに書いたりは、しない。
『首長の村の掟 -真実の物語-』