エピソード24 『全ての子供に教育を』
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- 2023年3月14日
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エピソード24
ついに、こけら落としの日となった!
村人が総出で、学校の完成と開校を祝福してくれる。
この日は珍しく、女性たちも顔を見せてくれた。
最後の仕上げとして、
入り口前の看板に、プーマが、学校名を刻み込む。
「たくしーすくーる」
どこで勉強してきたのか、たどたどしい日本語で、
俺の名を冠している。
そしてプーマは、子供たちに、俺を紹介する。
「彼がこの学校を建設してくれたんですよ。日本人ですよ。」
などと言っているのだろう。
最後に、プーマの音頭に合わせて、子供たちが一斉に、「アリガトウ!」と叫ぶ。
俺は、顔を真っ赤にしながら、深々と頭を下げる。
みんなも、俺の真似をして頭を下げる。
開校セレモニーが終了すると、大人たちは引き上げていく。
子供たちだけが、学校に残る。
机に着席するのは小学生年齢の者だけだが、
それ以外の子供たちも、教室の中で見学している。
俺は、目論んでいたとおり、
最初の授業を受け持つことにした。
ノートを配り、鉛筆を配り、
そして黒板に、大きく数字を描いていく。
算数なら、タイ語のわからない俺にも、教えることができそうだった。
子供たちはみんな、割りと素直に授業を受けてくれた。
そして、楽しそうだった。
「建てて良かった!!!」
俺は、心から、そう思った。
『全ての子供に教育を』