エピソード２５ 『リストラ後の７回裏で…』

エピソード２５

やがて、

四女・結衣も高校を卒業しました。

四女・結衣もまた、進学は選びませんでした。

四女・結衣は、アルバイトで貯めたお金で、

海外放浪に出ると言い出しました。

私は驚きました！

四姉妹の中で、四女・結衣が最もおっとりしていて、家庭的で、

海外放浪とは無縁のように感じていたからです。

私は、

「春休みが終わった頃に、航空券が安くなるぞ」

といったアドバイスはしましたが、

それ以外には、

どこの国が良いとか、どこは危ないとか、

そういった話は、一切しないようにしておきました。

どのようなプランを提示してくるか、とても楽しみでした。

恐らく、イタリアかスペイン辺りだろうと推測しました。

四女・結衣は、図書館に行って、

様々な国のガイドブックを借りてきました。

説明を読むというよりは、

写真をパラパラと眺めているようでした。

…やがて、

四女・結衣は、自分のプランを話してくれました。

「一番行きたいのが、ラオス！

　第２希望が、トルコ！

　第３希望が、フィンランド！」

…私は、唖然としました…

１～３が逆なのであれば、まだ理解出来ます。

フィンランドの先進的で上品なセンスは、

あの子の趣味に合うだろうと思います。

しかし、ラオスというのは、

東南アジアの、無骨な、殺伐とした国です…。

若い女の子が好む感性とは、到底思えません…。

私は、四女・結衣に、理由を尋ねました。

「うーんとねぇ、

　ラオスって、めっちゃ田舎で、素朴なカンジだったから♪

　なんか、今の私たちと、同じ匂いがするんだよねー。

　あと、お金があんま掛からないでしょう？」

「うん。まぁ、言い得て妙だな。次は？」

「トルコは、一番、『面白そう』だったよ♪

　なんか、色んなテイストが、

　１つの国に詰め込まれてて、お得なカンジがしたの。」

「うん。これまた、鋭い意見だ。次は？」

「フィンランドはスゴいよ！

　オーロラが見れるし、ムーミン谷もあるんだよ！

　それにね、

　環境対策とか福祉とか、すごく進んでるんだよ！

　町の暮らしを、見てみたいなぁって思ったの。

　あと、家具とか雑貨とか、チョー可愛いんだよ！」

…理由の説明を聞いてもやはり、

１位と３位が逆のような気がしてなりません。

「オマエ、１位と３位が逆じゃないのか？」

私は耐え切れずに、問い掛けてしまいました。

「うぅん。

　やっぱり、ラオスがイイの。

　理由って、よくワカンナイよ！

　…お父さんが、

　『東南アジアが好き』って言ってたからかもしれない…。」

うーむ。

やはり、親子は似るのでしょうか？

『リストラ後の７回裏で…』