エピソード25 『真理の森へ』
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- 2023年3月18日
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エピソード25
30分もただただ浮いていると、
ようやく、カティたちは水から上がりました。
申し訳程度にシナモンロールをかじると、
今度は、裸のまま日向の草むらに寝転がるのです。
私も真似して、
草むらに寝転んでみました。
10分も寝転んでいると、
お尻が痛くなってきました。
どうしようかなーとためらっていると、
頭の先のほうで、リスか何か、小動物の物音がしました。
私はその正体を確かめるのを口実に、
体をくるっと、うつぶせに変えました。
そして引き続き、物音の正体を探して辺りを見渡しました。
「おや?」
リスも小鳥も見つからなかったけど、
思いがけないものを発見したのです。
それは、四葉のクローバー。三つ葉じゃなくて、四葉です!
私は、生まれてはじめて、
自力で四葉のクローバーを発見したのでした。
それは、ほかでもなく、
フィンランドの森の中だったのです。
私は、改めて気付くのでした。
とても当たり前なことなのだけど、
四葉のクローバーを見つけたいなら、
自然の中に分け入っていくしかないのです。
自然と戯れている必要があるのです。
ショッピングモールには四葉のクローバーは生えていないし、
快適な家の中にも、高層ビルのオフィスにも、生えていないのです。
四葉のクローバーが幸福の象徴と言われるのは、
あながち、迷信でもないのかもしれません。
自然を愛する人だけが、
幸福を見つけ出せるのです。
あとがき
この物語は、フィクションです。
ユスキュラという街ならびに大学は、フィンランドに実在しません。
しかし、モデルとなった街ならびに大学は、存在します。
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2014/06/19 完筆
『真理の森へ』