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エピソード26 『沖縄クロスロード』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月13日
  • 読了時間: 3分

エピソード26

ゲストハウス・ニライカナイにも、ゆんたくの時間がありました。

19時も過ぎるとどこからともなく人が集まってきて、

ワイワイと、盛り上がりはじめます。

キッチンでは、見知らぬお客さん同士が一緒にお好み焼きを焼いてたりします。

きっと昨日の結び宿も、キッチンはこんなふうだったのでしょう。


ユカたちは、近くの商店で沖縄そばの手作りセットを買ってきました。

それと島豆腐と海ぶどう。ユカはパイナップルを買いました。

小ぶりのパイナップルが、100円で買えるんだよ!



宿に戻って、信悟さんに手作り料理を振る舞おうと思ったら、

信悟さんはすでに、親子丼を作って食べていた…

「もぉー!料理までできちゃうんですか?

 女の付け入るスキがないじゃないですかぁ。

 そんなんだったら結婚できませんよー!」

ユカは、わけのわからないモンクを言ってしまった。

「あははは!イイんだよ。

 どうせ、オレみたいな旅行好きに、結婚は向かないさ。」

信悟さんはいつも、あはははは!だ。


「そうなの?どうして??」

「『色んな街を見たい』という欲求は、

 『色んな異性を見たい』という欲求と同種だからさ。好奇心ってヤツだよ。

 『色んなケーキを食べたい』という欲求も、

 『色んな異性を見たい』という欲求と同じだよ。

 とにかく、

 色んなモノにワクワクを感じるヒトには、結婚は向かない。

 結婚は、同じケーキの繰り返しだもの。

 だから、

 先進国民には離婚が多いんだよ。彼らは好奇心が旺盛だからさ。

 対して、土着民や発展途上国民は、ほとんど離婚をしないよ。

 毎食じゃがいもスープでも飽きないでいられるヒトたちは、

 毎日同じ異性とキスし続けるのも、耐えられる。

 でも、日替わりご飯じゃないと気がすまないヒトたちってのは、

 つまり、恋愛に関しても一途ではいられないんだよ。

 『一途なフリ』は出来るけど、心の底では一途じゃない。」


「どうしよう。ユカ、毎日じゃがいもスープじゃ耐えられない。

 ユカ、結婚に向かないかも…。」

「あはははは!気にすることないよ♪

 日本人の99%は、結婚に向いてないんだもん。」

「えー?99%が??

 だって、みーんな結婚してるよ?90%くらいは結婚してるんじゃないの?」

「してるよ。21世紀の結婚率はもっと低いけど。それでも大半は結婚してるよね。

 でもさ、『結婚してるかどうか』と『結婚に向いてるかどうか』は別だよ。

 結婚してたってみんな、旦那のグチばっかり言ってるし、

 他の女と浮気したがってんでしょ?つまり、結婚に向いてなかったのさ。

 不向きだって気付く前に、軽はずみに結婚しちゃったんだよ。

 それでみんな、幸せそうに暮らしてる?

 キミの両親やチーフや先生、幸せそうに見える?

 結婚に幸せ感じるのは、せいぜい1ヶ月くらいだけだよ。

 それを過ぎたらもう、じゃがいもスープだけじゃイヤになってくる。

 たとえフカヒレスープをGETできたとしても、やっぱり1ヶ月でイヤになっちゃう。

 だからオレ、結婚なんて求めない。

 恋人が欲しいとも思わないよ。デートはしたいけど。」


「浮気性なの?信悟さん。」

「そうかもしれないよ。あははは!」

ユカ今まで、浮気性な男なんてサイテーだって思ってた。

でも、信悟さんのことはサイテーと思わない。ユカも信悟さんとデートしてみたい。

サイテーじゃない浮気男って、居るんだなぁ。

「なんでだろう?

 信悟さん浮気性なのに、汚らしいと感じない…」

「そりゃタブン、オレが正直だからじゃない?

 オレ、色んな女の子とデートするけど、

 『キミだけが好きだよ!』とか嘘言ったりしないもん。腹黒いことしない。

 誰にでもオレの恋愛観、伝えるよ。

 こんなオレでも好いてくれる女の子とだけ、デートするようにしてる。

 だから実際、恋愛経験は多くないよ(汗)」



この日も色んな旅行者が居た。結び宿ほどお客さん多くなかったけど。

色んな人が、信悟さんに人生相談してた。

マリも信悟さんに相談してた。「フランスは幾ら貯めればいけますか?」って。

ヒヨリも信悟さんに相談してた。「フランスのお菓子は美味しいですか?」って。

それは「相談」ではない気もするけれど。


『沖縄クロスロード』

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