エピソード27 『全ての子供に教育を』
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- 2023年3月14日
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エピソード27
俺は、その日のうちにもう、ロレン村をあとにした。
プーマが、ナンの町まで送ってくれた。
そこからバスに乗って、チェンマイに戻る。
もちろん、
利典さんに挨拶するためだ。そして、一部始終を話した。
彼は、「他の村を案内していれば良かったかな?」と申し訳なさそうだったが、
俺は、「そういう問題ではなかったと思う。」と、彼をかばった。
実際、そういう問題ではなかっただろう。
「教育を制度化したって、誰も幸せにはならない」
プーマの言う通りだ。
なぜ俺は、それに気付けなかったんだろう?
教育を押し付けられてウンザリしてきた、その当事者だというのに。被害者だというのに。
なぜ日本人大衆は、それに気付けないんだろう?
教育を押し付けられてウンザリしてきた、その当事者だというのに。被害者だというのに。
そんな簡単な教訓にすら気付けないのは、
日本人の知性が、低すぎるからなのだろう。
「知識」の詰め込みばかりやってきて、「知性」が磨かれていないのだ。
学校に通っていないプーマたちのほうが、知性が高いのだ。
「全ての子供に教育を」
教育というものが、「幸せに暮らすための知性」のことなのであれば、
教育が必要なのは、ロレン村ではなく、俺たちのほうなのかもしれない。
『全ての子供に教育を』