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エピソード28 『ミシェル2 -世界の果て-』

エピソード28

そこにいたのは、女性だったわ。

噂の西洋人は、髪の長い女性。レオじゃない。

ううん。わかっていたことよ。


彼女はこんなに朝早い時間から、工房の掃除をしているらしかった。

「あのう。」私はおそるおそる声を掛ける。

「あら?こんにちは。ごめんなさい。オープンはまだなんです。」

「いいえ。西洋人がこのあたりにいると聞いたもので…。」

「あら、私にご用なの?」

「ご用ってほどのこともないんです。

 私、地図もガイドブックも持っていなくて、

 食堂やホテルを探してて…。でも地元の人には言葉が通じないんです。」

「それで西洋人のヨシミってわけね。

 お目当てのレストランが何かあるっていうこと?

 そういうわけでないなら、パンとコーヒーくらいはごちそうするけど?」

「え、いいんですか!?」

「いいわ。西洋人のヨシミよ。

 まぁ、観光地だから西洋人なんていくらでも来るけど、

 何の情報もアテもない人は少ないからね。助けてあげる。」

「どうもありがとうございます!」


彼女は私を、店の奥に通してくれたわ。

ビックリなの!お店の門構えは小さいんだけどね、

奥は、中はとても広いのよ!大きな中庭まである。これがモロッコ建築なんですって。

私は中庭のテーブルに腰をおろして、きょろきょろしながらしばらく待った。

すぐに彼女は、朝食の載ったお盆を持ってきてくれた。

朝食を食べながら、会話をしたわ。

「それにしても、

 どうして可愛い女の子が、地図も持たずにこんなところへ?」

「実は…、

 ポストカードを追いかけてきたんです。」

私は、リュックから例のポストカードを取り出して、彼女に見せた。

「あら、ステキな旅ね。

 こんな手がかりだけで辿りついてしまうなんて、あなた旅人なのね!」」

「い、いえ。初めての旅だったんです。

 何もかも初めてで、大変でした…。」

「そう。お気持ちお察しするわ。

 これから旅人になろうっていうところなのね。」

「い、いえ、それもどうかわからないけど…。」

「え?旅が好きなわけでもないのに、こんなたくましい旅をしてきたの?」

「実は、ポスカードっていうか…

 男の人を追いかけてきたんです。」私は照れながら言う。

「男の人を?」

「はい。このポストカードの差出人が、前に私の町に立ち寄ったことがあって、

 そのときに少しお話しただけなんですけどね。忘れられなくって。」

「すごいわね!それでシャウエンまで追いかけてくるなんて!

彼女はそう言うと、ポストカードをひっくり返した。

「あら?名前が書いてないわね。

 ひょっとしたら私の知ってる人かもなんて思ったんだけど…。」

「雨でにじんじゃったんです。手紙も何て書いてあるかわかんなくて…。

 何て書いてあったのか知りたくて、追いかけてきたんです。

 レオっていうんです。その人。」

「レオ!?まさか、レオナルド!?」

「え!レオを知ってるんですか!?」

「知ってるも何も…!」

彼女は天を仰いだ。そして苦笑いを浮かべて、1つため息をつく。


『ミシェル2 -世界の果て-』

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