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エピソード2 『ゆずと林檎』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月7日
  • 読了時間: 2分

エピソード2

別離と言うと、

オレとアイツの仲は、険悪なのだろうか?


否!そんなことは無い!

結成から10年以上経つけど、

いまだにしょっちゅう、

2人で酒を飲みながら、エロ話などで盛り上がっている。

真面目な話も、出来るし。



オレが別離を考えている理由は、

「このまま活動を続けても、成長出来ない」と感じるからだ。



人は大人になると、

まずは、生活の安定を求めて躍起になる。

で、それをある程度確保したとき、

道のりが2つに枝分かれする。



1つの道は、

「不安定な冒険」に、旅立っていく人たち。

これは、

文字通り、放浪のようなものであることもあるし、

「他業種にチャレンジする」といった意味も、含む。

オレは、どちらかと言えば、

そうやって、未知なることにチャレンジし続ける人間に、憧れる。


もう1つの道は、

手に入れた安定に、しがみ付き、収まり続けてしまう人たち。

ロクに働きもしないで、虚勢ばかり張っている、

実業家のような人たちだ。


「ロクに働きもしないで、虚勢ばかり張っている、

 実業家のような人たち」

を音楽業界に当てはめてみると、

年に1枚か2枚しかシングルをリリースせず、

2~3年に一度しかアルバムをリリースしないのに、

虚勢を張っている、大御所バンドだ。

彼らは、「昔取った杵柄」で、生きている。

彼らのクオリティは、たいてい落ちている。

それに、

お腹のビールっ腹が隠せなくなってきている。


どんな業種にしたって、

ビールっ腹になり始めたら、

安定志向に陥ってしまった証拠だ。

つまり、

ロクに働きもしないで、虚勢ばかり張っているのだ。



海外放浪をするビールっ腹の旅人なんて、見たことがない。

彼らはいつも、

新しいスリルと対峙しているし、

ぜいたくにもご馳走にも、目が眩んでいないからだ。


オレは、実は、

そういう海外放浪者に憧れている。

1年とか、そういう長いスパンで、

見知らぬ国をさすらってみたい。

ものすごく大変なことだと思うけど、ものすごく楽しそうだ!

もちろん、

テレビクルーが着いてきてたら、意味がない。



それなのに、オレは、

海外放浪などにはチャレンジしないまま、30歳を過ぎてしまった…。

「なんで放浪にチャレンジしないの?」と尋ねられると、

「いやぁ、音楽活動が忙しくて、

 長期の休暇が取れないよ!」

と、反射的に答えている。



…しかしそれは、「タテマエ」だ。


『ゆずと林檎』

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