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エピソード2 『ドヴォルザークの再来』

エピソード2

…すると、ナカジマさんは、

赴任して1週間で、

もう、生徒たちの人気者になってしまう!!


生徒の誰一人として、

音楽の授業をサボりたいとか、思わなくなってしまう。

…音楽の授業サボるヒト、多かったでしょ?



そして、

ナカジマさんは、授業もまた、面白い!!

発声練習には、独自のフレーズばかり、用いるんだ。


「ばーいばーいばーい!」とか、

「まぁりぃやぁ(マリア)」とか、

そんなんばっかりさ(笑)


…フツウは、

「あーあーあー!」とか

「ルールールー!」ばっかりだろう?



ナカジマさんが、

この、独自の発声練習ボイスを披露した際も、

クラス中が、爆笑した!!

「センセー、何それー!?」

「バッカじゃないのー??」


そんなふうに言われたって、彼は、動じない!!

「はっはっは!そうなんだよ♪

 先生は、バカみたいなボイスで、発声練習がしたいんだ♪」

と、笑って言うモンだから、

みんなは、「コレは、笑いのネタってワケではナイのだ!」と解って、

ちゃーんと、先生と同じように、発声練習に取り組むように、なる。


僕は、音楽の道を、イロイロと探求してきた人間なのだけれど、

後になって、様々な知識や見解を得てみると、

ナカジマさんの、「マリア」や「ばい」の発音は、

とてもとても、理に適っているんだよ!!

決して、『バカなボイス』なんてモンじゃなくて、

むしろ、そこらの音楽教師も知らない、『高度な知識』だったんだ!!


でも、ナカジマさんは、

「いや!これは『バカみたい』なんかではなく、

 発声力学に基づいた、崇高な発声トレーニングなのだ!」

なんて、シリアスな顔して説き伏せたりは、しなかったのさ!!


彼は、

「自分がバカだと誤解されること」なんて、全く、恐れちゃいないのさ!

バカだと思われてもイイし、笑われてもイイから、

生徒たちに、より効果的な発声トレーニングを、やらせたいんだよ♪


ものすごい、自己犠牲だろう!?



歌のカリキュラムに関しては、

きちんと、教科書の内容に準じて、行っていたよ。

けれども、

やっぱりソコにも、彼なりのポリシーが、あった!!


ナカジマさんは、歌を歌う際に、

細かいコトは、一切、注意したりしないんだ。

まるで、幼稚園生のお遊戯遊びみたいに、

ただただ、元気良く歌うことだけを、繰り返すんだよ!



でも、

ナカジマさん自身は、

腹から良く響く、美しいテノールの声で、

ピッチ(音程)を正確に保ちながら、

適度な抑揚を付けて、お手本のように、歌うんだ。

…すると、


コトバでイチイチ、細かい指摘をされたりしなくても、

だんだんみんな、ナカジマさんのように歌うように、なっていくんだ!!

ナカジマさんのように上手く歌えるヒトが、増えれば増えるほど、

その歌声に釣られて、他のヒトたちも上手くなっていく…


…まぁ、カンタンに言うと、

「背中で語るタイプ」のヒトなんだよ♪



で、更に、

ナカジマさんは、誰かを一人で歌わせるようなことも、しない。

…なんと、歌のテストの時ですら、しないんだ!!


彼は、

生徒たちがキンチョウやストレスを感じるようなことは、

一切、やらないんだよ!!


どんなにヘタっぴでも、一人で歌わせられたりすることがナイから、

みんな、安心して、リラックスして、「歌うことを楽しめる」のさ♪


ナカジマさんは、

音楽の授業では、とにかく、

「音楽を楽しむこと」を大事にした授業をするんだ♪


「音楽を楽しむこと」を、こんなにも徹底出来る音楽教師や指揮者を、

僕は、これまでに、お目に掛かったことがナイよ!!


『ドヴォルザークの再来』

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