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エピソード2 『人魚たちの償い』

エピソード2

そして私たちが生まれてくるわけなのだが、

私たち子供に関しても、やはりちょっと変わっている。

普通、優秀な医者の家庭には、

優秀な頭脳を持った男の子が、長男として生まれてくる。

長子として男の子が生まれたのは、そのとおりであったけれど、

我が家の長男は、成績優秀とはほど遠かった。

勉強はまるでだめで、優等生でもない。外で遊びまわってばかりいた。

両親は意外に思い、また、少なからずショックでもあったらしいけれど、

家業を継ぐようなことを子供に強要するような、狭い人間ではなかった。

兄は、名前をアントニーといった。当初、13歳だった。

私は私で、母親似と言えるのかはわからない。

共働きであるからなおさら、母よりもアントニーと過ごす時間が多かったため、

私は自然と、アントニーの背中を追いかけ、

アントニーと同じように広場をかけまわっていた。

ただ、父から言わせれば、私は母に似ているらしい。

アントニーが噴水の英雄像から飛び降り、ケガをするたびに、

誰よりも早く駆け寄り、ハンカチで止血をする5才児だったらしい。


アントニーは自由奔放で、優等生でもなかったけれど、

私は決して、アントニーが嫌いではなかった。

彼は、わんぱく者ではあっても、乱暴者ではなかった。

幼いうちから、妹の私に手をあげるようなことはほとんど無かった。

彼は、太陽のように人を元気にする、不思議な魅力を持っていた。

ある意味では、彼は父に似たのかもしれない。そしてユベールおじいさんにも。

ユベールおじいさんは画家じゃないのに絵を描いたが、

アントニーは、医者じゃないのに人を元気にするのだ。

女というのは、どうもナイーブな生き物で、

太陽のように陽気にしてくれる人を、どこか求めるようなところがある。

私は、名前を、タニアという。当初、12歳だった。


『人魚たちの償い』

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