エピソード2
「メジャー・デビューを目指さないバンドがあるのか?」って?
そんなの、ゴロゴロ居るよ!
口ではメジャー志望を吹聴してるが、実際はそうじゃないヤツらが、多い。
バンドを組む理由は、幾つか、ある。
まずは、
「とにかく、バンド・サウンドを楽しみたい」
というヤツらだ。
客なんか入らなくても良いから、ライブがやりたいし、
スタジオに入ってセッションしたい。
オヤジ・バンドなんざ、大抵、そうさ。
若い連中でも、こういうタイプは、意外と多い。
ハッキリ言っちまうと、オナニーだ。
ライブハウスに出演するバンドの2割くらいは、この手のオナニー・バンドだよ。
次に、
「オンナにモテたい」
ってのがあるだろう。
ボーカリストくらいは、そういう色気があっても良いんだが、
こういう下心のあるメンバーが2人も3人もいるバンドは、
大抵、成功しねぇよ。
バンドマンにくっつくオンナってのは、
バンドの足を引っぱるヤツが、多いからさ。
確かに、
ルックスがイマイチでも、
髪を振り乱しながら演奏していると、カッコ良く見えるよ。
同業者のオレでもそう感じるんだから、
内情を知らない、ファン側のオンナの子たちからすれば、
更にその、5割増しくらいの神秘性やカッコ良さが、あるんだろうよ。
だから、
バンドマンをやってりゃ、
ルックスがイマイチでも、それなりにセックスにあり付ける。
バンド・メンバーの一人が人気を博するだけでも、
その「おこぼれ」に預かれることが、ある。
でも、
ファンを食っちまったバンドは、まず、成功しねぇよ。
ファンの間で、噂が広がって、
ファンの分裂が起きたり、バンド・メンバーへの失望が起きて、
ファンが総フェイド・アウトしちまうんだ。
だから、
音楽で大物になりたいんなら、
「お痛」は、徹底的にガマンしたほうが、良い。
有名になってから、
アイドルとお近づきになれば良い。
すると、
一旦、誰かがファンを食っちまったバンドは、
次のエモノを探すために、ライブをするだけに、なっちまう。
つまり、ヤツらは、
オナニーじゃなくて、文字通り、セックスをしているんだ。
ラブソングばっかり唄っているバンドは、
下心の強いことが、多いよ。
こういう、セックスバンドが、
全体の6割くらいってとこだろう。
すると、
本当に、ストイックに音楽をやっているバンドは、
2割程度なモンだろうと、思う。
『虚像のバンドマン』