エピソード32 『首長の村の掟 -真実の物語-』
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- 2023年3月11日
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「3日間の友人達」とは、それでもう、お別れさ。
ティナたちとは、メールアドレスの交換をしたけれど。
帰国後に、何通かやり取りしたのは、覚えている。
「立派なマイホームに住むことになったから、
ベルギーにお越しの際は、ぜひ、お立ち寄り下さい♪」
なんて、イキなことが書いてあったのを、覚えている。
もう、交流は途絶えてしまったけれど。
僕は、その日の夜行バスで、
メーホンソンの町を目指すことにした。
…おや?
3日間のトレッキング・ツアーを終えたばかりなのだから、
一晩くらい、宿でゆっくり休んでも、良さそうなものだ。
けれども、
旅の最中というのは、なぜか、体力の回復が早く、
どんどん先に進めてしまう。
「パワースポットのような場所に、出入りすることが多いから」
という理由が、一理ある。
また、
放浪中は、
ランナーズ・ハイというか、ナチュラル・ハイのような、
高揚した精神状態になりやすいからというのが、大きいと感じる。
…もちろん、
大麻もドラッグも、やっていない。
次々に目の前に訪れる、「初体験!」の数々が、
否応にも、旅人たちの精神を、高揚させてしまうのだ。
だから、
日常生活の中では出来そうもないようなムチャが、行えてしまうのだ。
「旅人」たちは、「初体験」が大好きだ。
常に、新鮮な出来事に、触れていたい。
「旅行者」は、「いつもと同じ」が大好きだ。
だから、当たり障りない3ツ星ホテルと、巨大な観光バスを、ハシゴし続ける。
「初体験」という言葉は、
日本人にとって、セックスを連想させる。
しかし、
セックスとは全く無関係な事柄に関しても、
「初体験」というものは、エクスタシーを与えてくれるのだ。
そして、
発展途上国というのは、「初体験」な物事の宝庫なのだ!
『首長の村の掟 -真実の物語-』