エピソード36 『首長の村の掟 -真実の物語-』
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- 2023年3月12日
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…とにかく、
あなたの今の暮らしや、精神レベルでは、
アセンションなど夢のまた夢であることは、理解して貰えたかと思う。
アセンションは、諦めたほうが良い。
それでもアセンションしたいなら、
出家するほどの覚悟が、居る。
仏教僧になる必要は無いが、
お金も、保険証も、年金手帳も持たずに、
家族から離れてみると良い。
ちょっとした神秘体験は、起こってくれるだろう♪
僕とユミちゃんは、
メーホンソンの端っこの安宿に、部屋を取った。
別々の部屋だ。
暇そうな、静かな宿だった。
そして、荷物を置くと、
2人とも、しばし爆睡することにした。
ライトバンがあんな惨状だったから、一睡もしていないのだ。
昼頃に目を覚ますと、
近所のアメリカン・カフェで、ランチを摂った。
腹ごしらえが済むと、
メイン・ストリートの観光がてらに、
首長族の村に連れていってくれるツアー会社を、探した。
ツアー会社は幾つかあったが、
「今日はもう、終わった。明日だ」
と、言われてしまう…
僕もユミちゃんも、出来れば今日中に、行っておきたかった。
諦め半分で、土産屋なんぞ、覗いてみる。
この町自体には、首長族など誰一人住んでいないが、
首長族をモチーフとした土産物が、ところ狭しと並んでいた。
土産物屋というのは、そういうものだ。
「便乗商売」である。「金魚のフン」である。
しかし、
そんなフンたちと話をしていると、有力な情報が手に入った。
「貸切タクシーの要領で、ツアー会社の人間に掛け合えば、
好きな時間に、好きなだけ、首長の村に行けるだろう」
というものだった!
確かに、
そのような自由なスタイルのほうが、都合が良い!
大勢でずらずら並んで、村を歩くだけでは、物足りない。
僕らは、
そこいらのツアー会社のスタッフと、掛け合ってみた。
「車一台で幾ら」という料金設定なので、
2人ツアーは、かなり不利なようだった。
でも、
700バーツという料金で、僕らは手を売った。
1人350バーツ。
向こうの貨幣価値でいうと、かなり大金だが、実際、1,000円もしない。
映画一回より、安いのだ(笑)
僕らは、すぐに出発した。
シルバーのワゴン車だった記憶がある。
30分くらい、走った。
道はそう、悪く無かった。
最後のほうに、とても大きな鉄橋を渡った。
ユミちゃんは、
「ここで写真を撮りたいから、停まって!」
とお願いした。
ドライバーは、すぐに応じてくれた。
貸切には、こういう利点がある。
…いや、
6人程度のミニバン・ツアーなどであっても、
「写真撮りたいから、停めてもらえますか?」
などといったリクエストは、慣行してみる価値がある。
1日に1回程度のワガママであれば、
ドライバーも、他の客も、腹を立てたりは、しない。
それに、
誰かが写真を撮りたがる風景は、
他の誰かも撮りたがっている可能性も、高いのだ!
すると、反感を買うどころか、喜ばれる(笑)
ユミちゃんは、
基本的には、全く、ワガママでは無い。
とても優しく、控えめな子だ。
しかし、
知的好奇心において、「譲れない何か」がある場合には、
物怖じせず、自分の望みを口に出来る。
このような、
「普段ワガママなど言わない人間のリクエスト」は、
たいてい、何だって、通る。
対して、
普段ワガママばかりの人間の場合、
どんなに些細なことであろうと、イチャモンが付く。
相手に「ケチ!」と言う前に、
自分のワガママの頻度を、振り返ってみたほうが、良い。
『首長の村の掟 -真実の物語-』



