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エピソード3 『リストラ後の7回裏で…』

エピソード3

転機は、世紀末でした。

空前のパソコン・ブームが巻き起こりました。

私たち企業人は、会社にも自分の頭にも、

新しいOSをインストールしなければ、なりませんでした。

…いや、

私達の会社は、90年代の初頭にはパソコンを導入し始めたので、

業務作業くらいは、DOSであっても、

誰でもそつなくこなせました。



パソコン時代の到来は、一般的に、

「効率化の恩恵が受けられる!」という触れ込みでした。

一人一台、パソコンを導入することで、

作業は爆発的に時間短縮出来て、

私達ビジネスマンは、忙殺から抜け出せるはずでした。

しかし、いざフタを開けてみると、

忙殺は益々、加速の一途を辿りました!

パソコン導入に伴う、作業の効率化によって、

日本社会全体で人件コストが下がっていき、

それが、あらゆる商品・サービスの単価低下を引き起こしました。

単価が低下するということは、仕事量を増やさなければ、

収益を保つことが、出来ません。

元々、ギリギリの収支で運営していた私達は、

この、作業の効率化とコスト低下のスパイラルに、翻弄され続けました。



私達はついに、

「手数とクオリティを両立させる」というポリシーを、

完全に、手放さざるを得なくなりました…。

「楽しく仲良く、やり甲斐を持って仕事する」というポリシーは、

遠い世界の、絵空事となってしまいました。


21世紀の到来と共に、

会社のスタッフは、爆発的に増えていきました。

たった5年で、6人が50人になったのです!

私たち初期スタッフは、


完全に、裏方に回るようになりました。

若手の監督・指導と、旧くからの顧客に対応するだけに、なりました。

新人たちには、

「楽しく仲良く、やり甲斐を持って、仕事しよう」

と優しく声を掛ける余裕は、ありませんでした。

業務の効率化を、優先せざるをえなかったためです。

せめてものケアとして、

「私たち初期メンバー上司が、スタッフに優しく接する」

ということを、皆で心掛けました。



…しかし、

残念なことに、上司が穏やかな物腰だと、

先輩や仕事を舐めてかかる若者も、少なくありませんでした。



初期メンバーは、

1人辞め、また1人、辞めました。

あれほどの悪循環の中では、

それも致し方ないことだと、思いました。

誰一人、去っていく者を責める気持ちは、抱きませんでした。

会社は、とにかく、

効率とコスト・パフォーマンスを、優先し続けました。

幾人かの天才的なスタッフが、



2人分3人分の仕事をこなし、売り上げを稼ぎ、

会社はいつも、ギリギリのところで、踏み止まりました。

しかし、

そのような優秀なスタッフたちは、

半年もフル・スロットルで唸りを上げると、

燃え尽きて、心身いずれかに支障をきたし、

辞めざるを得なくなりました…。



私が得た教訓は、こういうものです。

「少数の優秀なスタッフに依存しても、誰の得にもならない。」


『リストラ後の7回裏で…』

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