エピソード3 『沈黙のレジスタンス』
- ・
- 2023年3月7日
- 読了時間: 2分
そう。
デニーが教えてくれたことの1つに、それがある。
「考えること」と「悩むこと」の、違いだ。
たとえば、先の話で言えば、
他のみんなは、
「どうせオレらも、15になったら穴掘り遊びができなくなっちまうんだよ!」
と、グチをこぼすだけだ。
「あぁ、どうしよう。
いつまでも子供でいたいのに、いつまでも遊んでいたいのに、
15歳まで、残された時間はあと1年しかない…」
と、クヨクヨ悩むだけだ。
そういう彼らは、チカラを失うし、元気を失う。
でも、デニーは違う。
「どうすれば解決できるか?」を、常に考え続ける。
「15になっても穴掘り遊びを続けられる方法」を考えるし、
「15歳までの1年間で何ができるか」を考える。
1つでもアイデアが浮かんだなら、とにかくそれを掘り下げてみる。
キノコ岩掘るのと同じように、情熱こめて掘り下げる。
そうして掘った穴が、どこか思いがけない隠し部屋に通じていることがある。
そうしたら、問題は解決だ!
解決に至らないにしても、ちょっとは先に進んでいる。
それをコツコツと繰り返していけば、
いつかは問題そのものが、解決するんだよ。
キノコ岩に城を掘るのと同じで、
どれだけコツコツ続けられるかが、重要なのだ。
「考えること」を、止めてはいけない。
かといって、「悩む」のもよくない。全くよくない。
ただ、アイデアは、すぐに浮かんでこないこともあるだろう。
それならいったん、脇に追いやったらいい。それでいい。
ふとした瞬間に、ふっとアイデアが浮かんできたりするだろう。
問い続けることを、やめてはいけないんだ。オーダーを取り消してはいけない。
デニーはあまり、学のある少年ではなかった。
あまり学校には行かないし、あまり勉強が好きではない。
学は無い。が、頭の良い少年だ。頭の切れる少年だった。
頭が切れるかどうかは、あまり学力とは関係しないらしい。
『沈黙のレジスタンス』