エピソード40 『首長の村の掟 -真実の物語-』
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- 2023年3月11日
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幼い頃からの憧れは、
完全に崩れ落ちた…。
首長の集落には、何の神秘もロマンも、無かった。
ただ、顔の可愛い首長娘が大勢居て、
水商売さながらに、セックスの香りを漂わせて、金儲けをしているだけだ。
それと蜜月関係を結ぶ企業ばかりが、彼女たちを取り巻いており、
顔の良さと物珍しさを賛美する、物質主義的な観光客たちによって、
その生活が、助長されていた。
集落の中心部に居た、成人女性たちは、
誰もが、首に、あの輪っかをはめていた。
しかし、よく見ると、
中には、特に首が長いわけでも無い女性も、混じっていた。
ついさっき、取って付けたかのような…
そして実は、
「全ての女性が首に輪っかをしている光景」など、
本来、有り得ないことなのだ。
本
来、首長族のしきたりでは、
満月の日に生まれた女性だけが、首に輪をはめる宿命にあった。
これは、
いわゆる、生け贄のような概念だった。
「不幸の象徴」なのである。
しかし、現代になり、
各国のテレビ局が、押し掛けてくるようになって、事態は一変した!
その、不幸の象徴であるはずの、生け贄の女性たちが、
ことのほか、持てはやされ、巨万の富を手にしたのだ!!
それによって、この集落は、
生まれた日が満月であるかなど関係無しに、
時には自発的に、首に輪っかを着けるようになったのである。
現代の首長娘たちは、
文化でも伝統でも何でもなく、
ただの、ビジネス・ショーなのだ!!
そして、
観光客のほとんどが、この異常事態に、気付いていない。
何の違和感も、持っていない。
ただただ、珍しがり、可愛がり、彼女らを持てはやす。
あの可愛い顔に、「オマ〇コ」と言われて、喜んでいる。
『首長の村の掟 -真実の物語-』