エピソード4 『トルコで見つけたドラゴンボール』
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- 2023年3月11日
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僕は、宿に荷物を置くと、
早速、散歩に出掛けたよ。
その安宿は、
新興ホテル街と旧い住宅街の、境目のような場所にあった。
だから、シブい路地裏の風景も楽しめるし、
モダンな観光街の風景も、楽しめる♪
どちらも、楽しいよ。
路地裏で黒猫と追いかけっこをした後は、
まだ舗装も完了していない新興カフェ街を、歩いた。
洒落たセンスのカフェが、幾つも並んでる。
僕は、そのうちの一軒を選んで、
軒先のオープン・テーブルで、昼食を摂った。
メニューがよくわかんなかったけど、テキトーに注文してみたら、
やたらと豪勢なランチセットが現れた!
シシカバブみたいな肉の塊に、
たくさんの生野菜とライスが、添えてある。
そして、別皿で、
小麦粉を捏ねて熱しただけみたいな、シンプルなパンが付いてくる。
ライスがあるのに、パンも付いてくるんだよ(笑)
旅行者向けのレストランは、
だいたい、こんなカンジのランチセットばかり出してるね。
トルコでは、およそ必ずと言ってイイほど、
頼んでもいないのに、パンが付いてくる。
この、小麦粉を捏ねただけの土着民っぽいパンか、
またはフランスパンだね。
多くの店が、食べ放題にしてるよ。パンだけはね。
観光客向けの高級な店だけじゃないよ?
日本や多くの観光地では、大きな値段を取るために、
頼んでもいないのに過剰なサービスを詰め込もうとするよね。
でもそうじゃないんだ。
トルコでは、ジモティ向けの安っすい店でさえ、パンを食べ放題にしてる。
これはさ、「お腹いっぱいになってね」ってことなんだよ。客への気遣いさ。
食事を終えるとまた、歩き出した。
すると、
見知らぬオッチャンに、声を掛けられた。
「おい!キミが背負ってるそれは、
ギターじゃナイのかい?」
「うん。そうだよ♪」
「ワシの店に来たまえ!
一緒にセッションでもしようじゃナイか♪」
「えぇー!?
イイねぇ♪」
僕は、このオッチャンに着いていくことにしたよ。
店は、すぐ近くにあった。
半地下のような立地にある、小さなバーだ!
フロアの奥には、簡素なドラムセットが置いてあった♪
開店前のこういう時間には、
音楽スタジオ代わりに、遊んでるんだろうね♪
僕が自分のオリジナル曲をテキトーに歌うと、
オッチャンはそれに合わせてドラムを叩いた。
2~3曲歌って、さよならしてきたよ。
こういう、商売とは関係のナイ交流に、「旅」の面白味があるね♪
パックツアーや団体観光をしてたら、絶対に味わえないからねぇ(笑)
『トルコで見つけたドラゴンボール』