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エピソード4 『小さな大ちゃん』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月6日
  • 読了時間: 2分

エピソード4

…「器の大きい人」って、どんなのだ!?

オレは、ムカイくんに尋ねた。

「うーん。

 大ちゃんの両親の価値観次第じゃないかな?

 お金とか地位がある人のことを、『器が大きい』って言う人もいるし、

 『縁の力持ち』な人のことを、『器が大きい』って言う人もいるし。

 大ちゃんの両親は、どっちのタイプ?」


オレの親父は、

金持ちでもなければ、地位も無かった。

ただの左官屋だった。

そういう親父と結婚したんだから、

母親も、金や地位には興味がないんだと、わかる。

「縁の下の力持ち」のような活動をしてたのかどうか、

オレは知らなかった。

でも、少なからず、

金や地位に価値を見出す人間ではないことは、解った。

親は、オレに政治家や実業家になってほしいとは、思っていないようだ。



オレは、この時から、

物事の考え方が、少し変わった。

「目立ちたい!」とは、思わなくなった。


オレは、頭の形が良いらしく、スポーツ刈りが似合っていたから、

子役モデルのようなことを、ちょこちょこやっていた。

ファッション・カタログのボーイズのページやなんかに、

半ズボンをはいて、サッカーシャツを着て、ポーズを決めるのだ。

そういう、

写真に撮られたり、チヤホヤされたりすることが、

嫌いではなかった。チヤホヤされるのは、好きだった。

そのままモデル業を続けていたら、

けっこう華々しい未来も、あったかもしれない。


けれども、オレは、

「縁の下の力持ち」をテーマに決めたから、

子役モデルの仕事は、3年生いっぱいで辞めた。


『小さな大ちゃん』

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