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エピソード4 『沖縄クロスロード』

エピソード4

「旅行会社に頼らず、飛行機も宿も、自分で手配するのさ。」

三上先生は、パンフをポイっと投げ捨てる。

「自分で!?」

「自分でって言ったって、昔よりずいぶんラクになったもんさ。

 インターネットもあるしなぁ。

 宿なんて、安宿なら予約すら要らないよ。

 …3月は混むだろうが…それにしても、どっかしら泊まれるだろう。」


「飛行機って、自分で取れるの?難しいから旅行会社があるんじゃないの?」

「はっはっは!カンタンだよ。

 飛行機予約を旅行会社に頼んでるのは、機械オンチな爺さん婆さんだけさ。

 『LCC』で検索してみ?

 いまどき、東京-沖縄なんて片道5,000円で行けるさ。」

「5,000!?ムリっしょ!

 バースデー割でも12,000円だよ!CMでやってたもん!」

「それはJALやANAだろ?

 高いんだよその2社は。バーゲンでも高いんだ。マルイと同じさ。

 だから、『LCC』で検索してみろよ。航空会社のブランドを気にしなければ、

 5,000円で沖縄まで連れてってくれらぁ。」

「へー!知らなかった!!三上先生ったら物知りなんだ!」

「はっはっは!ダテに社会の教師やってないさ。」

三上先生はフフンと鼻をこすった。



ユカはどんどん質問する。

「そういえば、安宿がどうとか言ってたけど…

 安宿って、民宿のこと?

 ユカ、民宿イヤだなぁ。畳の部屋に寝るんでしょ?壁薄いし汚いし…」

「はっはっは!民宿すらイヤなら、

 やっぱり5万払って旅行会社に頼むこったな!

 パックツアーなら、オーシャンビューの4つ星ホテルだよ。

 しかも、個人で予約した場合の半額くらいに割り引いてくれる。」

「でしょ?やっぱパックツアーって安いんだよー!親切なんだよー!」

「そうかなぁ?俺はそうは思わんよ。

 オーシャンビューの部屋であっても、1万円もの価値があるとは思えん。」

「だから、割引されて5,000円なんでしょ?安いじゃーん。」

「5,000円でも高いさ。割引されても、尚、高い。大手企業ってそんなもんだ。

 1泊1,000円で泊まれることを知ってるヤツにとっては、

 半額セールだとしても、5,000円なんて払えないなぁ。」

先生はアメリカ人みたいに肩をすぼめる。

「1泊1,000円!?それどんなオンボロ民宿なの!?」


「はっはっは!民宿じゃないんだよ。オンボロじゃないしな。

 ゲストハウスっていうんだ。沖縄に腐るほどあるよ。…離島には少ないがな。」

「ゲストハウス??そんなの聞いたこともないよ??」

「そうだろうよ。オマエらの親御さんはバブルの申し子だから、

 ゲストハウスなんて泊まったことないだろうさ。3ツ星ですらモンク言うだろ?

 しかしな、

 貧乏でたくましい、若い旅人なんかは、もっぱらゲストハウスに泊まるよ。

 何せ、1泊1,000円か1,500円か、そんなもんだからなぁ。」

「何なの!?何でそんなに安いの??」

「安さの理由はいろいろあるけど、要するに、共有物が多いんだよ。

 1,000円の部屋なんざ、ベッドもドミトリーだ。相部屋のことだよ。

 そんで、トイレもシャワーも共有だ。

 客室係は、1日に100個もトイレ掃除しなくて済むんだよ。だから安い。」

「うぇー!知らないヒトとトイレ共有するの!?ありえなくない!?」

「オマエら、学校のトイレもマルイのトイレも、

 見知らぬ連中と共有してるじゃないか!

 むしろ、高級ホテルくらいだよ。トイレを占有して使ってるのはさ。そうだろ?」

「そっかぁ。

 でも、なんか気乗りしないなぁ…

 相部屋でしょ?そんなのありえなくない?」

「まぁ、オマエらは少子化世代だから、相部屋は慣れないよなぁ。

 でも、2,500円も払うならゲストハウスにも個室があるし、

 近年はたいてい、女性専用の部屋やフロアを設けてるから、そんなに辛くないよ。」

「でもなぁ…」

「まぁいいさ。

 とにかく、LCCとゲストハウスを活用するなら、

 飛行機代と宿泊費で15,000円で済むぞ?

 オマエらの『美ら海プラン』だと、29,800円…もとい、49,800円だろ?」


ゲストハウスというのはいまいちピンとこなかったけど、

確かに、飛行機と宿だけで5万円も払うのは、バカらしい気がしてきた。

っていうか、10万以上も貯められるかわからないし。


『沖縄クロスロード』

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