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エピソード5 『お遍路さんの集まる喫茶店』

エピソード5

次は、

「ライブハウス」を見てみましょう。


私たちは、

音楽に関しては、本当にドシロウトなもので、

ほとんど何にも、お手伝いが出来ません。

ですから、本当に、

「スペースをシェアする」といったニュアンスになります。


前述のように、

喫茶店のお客さん方とお話していると、

もちろん、ミュージシャンの方も、おられるのです。



彼らは大抵、

「歌う場所が無い」と、嘆いておられます…

ライブハウスというのは、

日本のどこにでも、それなりに、在るようですが、

どうも、通常のライブハウスですと、

「ミュージシャンの方々が自腹を切って、時間・空間を借りる」

というような仕組みなのだそうです。


アマチュア・ミュージシャンのライブですと、

たいてい、チケット一枚2,000円程度でしょうか。

そして、

ドリンク一杯500円を、強制的にオーダーさせられます。


私は無知なものでしたから、

この、「チケット代2,000円」というのは、

そのまま丸々、ミュージシャン方の収入だと、思っていました。

違うのです!

何やら、

「ノルマ」という制度がありまして、

20枚、30枚という、決まった「ノルマ」数を超えるまでは、

その2,000円は、全額、ライブハウスの収益なのです!



演奏するのは、ミュージシャンですよ?

お店は、観客からドリンク代を強制徴収し、

コーラ一杯に500円取っているんですよ?


一体、

ライブハウスという稼業は、

とても申し上げ難いのですが、ヤクザな商売なのです…



ノルマは、バンド形態ですと30枚ほど、

ソロや2人組ですと、15枚ほどが、相場であるようです。

そのミュージシャン方が、

ノルマ数以上の集客を獲得出来たとき、初めて、

「チャージバック」という収入が、発生します。


驚きます!

30枚売ってもまだ、

チケット代が丸々ミュージシャンの懐に入ったりは、しないのです!

たいていは、半額ほどであるようです。


恐ろしい計算になります…


あるバンドが、40人の集客を達成したとします。

(40人という数字は、アマチュアとしては、相当ハイレベルです!

 10バンドに一つ、達成出来るかどうかという、狭き門です!)


まず、30枚分は、「ノルマ」として、

全額、ライブハウスの懐に入りますね?


そして、残りの10枚です。

半額がミュージシャンの分け前であるならば、

2,000円÷2=1,000円。

1,000円×10枚=1万円


これが、

「狭き門をくぐり抜けた、特別に集客力のあるバンド」

の、一晩の、収入です。


更に、

お忘れにならないでください…


バンドは、4人居るのです(笑)


全員で1万円ですから、

一人頭、たった、2,500円です…


ちなみに、

ライブハウス側の収入は、

チケット代70,000+ドリンク代20,000=90000円ですね…


一晩で、4バンドくらいは競演しているようですから、

90,000×4=360,000円 36万円…!?


ライブハウスというのは、

そんなに偉い方々なのでしょうか…


アマチュア・ミュージシャンというのは、

ほとんど、奉仕活動のようなニュアンスで、

ライブをされているようなのです。



さて、

話を本筋に戻しましょう。

私の店には、ドラムセットもありませんし、立派なスピーカーもありません。

マーシャルとかいうのも、ありません。


ですから、

バンドマンたちがライブをするには、どだい、ムリがあります。

たいていは、

1人か2人で、アコースティックに弾き語りをされる方が多いです。

あとは、

ジャンベなどの、簡素な打楽器を持ち込まれる程度なら、

対応が出来ます。

店は、田舎の一軒家ですから、

打楽器音が響いても、たいして支障はありません。



私自身、

アコースティックな音が好きなものでして、

あまり大所帯で、ドンチャンされてしまう方々は、

受け入れられないと思います。

幸い、

皆さん、空気を読まれるようで、

大所帯がライブの希望をされたことは、一度も、ありません。



私の店でライブをされる方々は、

報酬ということにも、ほとんど、こだわりません。

ただただ、

見知らぬお客さん方に聴いてもらって、触れ合って、満足されます。


でも、

それもなんだか味気ないので、

「おひねりボックス」というものを、置くことにしています。

飲食のつもりで来店されたお客さんでも、

ライブを楽しませてもらったお礼に、

「おひねり」を入れていく方が、多いです。

大した額には達しませんが、何も無いよりは、良いでしょう。


そして、

ギャラリーの件と同じように、

私の店でライブをしてもらうことは、

私たちにとっても、有意義で楽しい時間です♪


ですから、

お食事とビールの一杯程度は、お礼をさせて頂いています。

…このような按配で行うと、

誰も彼も、ほとんどリスクを背負わずに、

ライブ公演を行うことが出来ますね♪



聞いた話によると、

東京でも、2000年を過ぎた辺りから、

このようなシステムを採用するお店が、増えたそうです。

ライブハウスの形態変化ではなく、

本来、飲食店を生業としている者たちが、

無償に限りなく近い形で、

アマチュア・ミューシャンに、ライブの場所を提供するのです。


良い流れですね♪


『お遍路さんの集まる喫茶店』

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